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2012年6月20日水曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第99号)

~「日の丸・君が代」処分(戒告から停職まで)~
平成24年(行コ)第214号 戒告処分取消等請求控訴事件~
控訴審を前に2つの「職務」について
「職務命令」と「職務専念義務」
~職務=教育行為こそ議論されるべき~


最高裁判決:「職務命令」=「儀礼的所作」・「敬意表明」受忍命令

「日の丸・君が代」に対する自らの歴史観・社会観、つまり思想、信条、良心から「敬意の表明」を受け入れられない者がいることは最高裁も認めた。にもかかわらず起立等の制約が許容される理由を教育内容との関わりでどう述べているか、2人の最高裁裁判官の見解を取りあげる。いずれも第2小法廷所属。
竹内裁判官:「国際常識を身につけさせるため自国の国旗・国歌に対する敬意が必要」
須藤裁判官:「高校生徒が、起立斉唱という国旗、国歌への敬意の表明の要素を含む行為を契機として、日常の意識の中で自国のことに注意を向けるようにする」
この2人は「国旗=日の丸」「国歌=君が代」が対立的論争的課題であることを無視し、「起立斉唱=敬意の表明」を自明のこととする。公教育には宗教・思想信条等の選択教化を内容とする「徳育」を持ち込んではならないとする教育法学者の見解もある中で、国家主義とも言える強固な基盤を露出させている。
そして、「生徒の模範となるべき教員」(竹内)、「指導者たる教員に、いわば率先垂範してこれを行わしめる」(須藤)として起立斉唱を当然視している。

補足意見:不起立=職務命令違反行為も「紛争」「虚しい現実」


公務員には上司命令に従う義務(地方公務員法32条)と共に、職務に専念する義務(同35条)がある。ここでも2人の裁判官の意見を取り上げる。
櫻井裁判官:「いたずらに不起立と懲戒処分の繰り返しが行われていく事態・・このような紛争が繰り返される状態」「職務命令違反行為と懲戒処分がいたずらに繰り返される」
横田裁判官:「職務命令違反行為とそれに対する懲戒処分の応酬という虚しい現実」
これはあまりにも皮相なとらえ方である。現象の本質を解明しない「喧嘩両成敗」論である。「日の丸・君が代」にしろ、「国家シンボル」にしろ、それを学校教育で強制する「職務命令」は拒否するが、「職務専念義務」による教育行為は遂行する。「国旗掲揚」「正対起立」「国歌斉唱」が行われる中で、子どもに多様な考え行動を示し公正な判断力を育成するためには不起立・不斉唱は原則的に必要であった。学習や教授は多様性、相違、個性などを見ることから始まる。それを学習の自由、教育の自由と呼んでいる。
裁判官の皆さまには、学校現場の実態を深く理解し、児童・生徒の学習過程、教職員の仕事を見てほしいものだ。

高裁への要請署名を開始しました。第1次集約の締め切りは7月末です。今回は高裁への要請です。前回ご協力いただいた方も再度お願いします。

今後の予定 報道

*河原井損害賠償差し戻し審 高裁口頭弁論 6/20 11時 812号
*都障労組処分取消訴訟 高裁判決 6/27 13:15 第824号
*「授業してたら処分」事件 地裁弁論 7/9 11:00 第527号
*東京小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 7/17 15時 第825号
*東京「君が代」裁判2次訴訟 高裁口頭弁論 7/20 14:00 第101号
*河原井・根津処分取消訴訟 地裁口頭弁論 7/23 16時 第527号
*米山処分取消・不採用取消裁判 高裁口頭弁論 8/7 15:30 第822号
*東京「君が代」裁判3次訴訟地裁口頭弁論 9/28 15:00 第527号

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