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2011年11月23日水曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第70号)

地裁判決へ向けて争点と運動の結節点!
最高裁弁論~教育の自由と全ての処分取消を④~

連続不起立・不斉唱 ~教育的意義は不変~

1,不起立・不斉唱はどこまでやるか

 最高裁弁論を控えて、裁量権逸脱・濫用をどの段階の処分で画するかが問題になっている。はっきりしていることは、戒告があって減給があり、減給があって停職があるという累積加重処分になっていることである。
 私の場合、2度の減給処分期間計7ヶ月は給与支給日に事務室で現金を数えなければならなかった。ある時以下のような対話があった。
 事務長:(不起立を)まだやるのか。
 近藤:もちろんです。事態はなにも変わっていませんから。
 不起立・不斉唱は「日の丸・君が代」一律起立・斉唱という強制下における教育実践だから、一貫した連続性を示すことになる。4度の処分の根拠となった不起立・不斉唱の意義に軽重はなく、その処分は全て不当である。
 この意味で、大阪の「免職処分条例案」が成立したら、それへの抵抗は文字通り身分をかけた行動となるだろう。

2,なにがなんでも停職処分 ~辞令1月、執行1日~

 連続不起立・不斉唱はその意義は変わらないが、都教委の処分は厳格である。私の場合、退職の1日前3月30日に停職処分辞令が発令された。従って、辞令1月、執行1日となった。後日、1日分の給与の返還を求められた。
 合理性などはかなぐり捨てた処分者=都教委の執念を感じた。懲戒分限処分審査委員会で検討したとはいうが、規定のルートに則った処分である。このような停職処分が裁量権逸脱・濫用であることは明らかだ。

3,教育の自由と結合した裁量権逸脱・濫用

 都教委は、私たち教員に児童・生徒の面前で起立・斉唱することを強制した。最高裁も認めた起立・斉唱という「敬意の表明」は、不本意ながらそれを受忍した者の思想・良心に深いダメージを与える。同時に、教員の存在自体の根幹を揺るがすものである。強制下の儀式的行事においても教授の自由を発揮し児童・生徒の学習権を保障したことに対する都教委の処分だからこそ裁量権の逸脱・濫用である。それは処分の段階に関係ない。
 第一波判決は“19条の枠組”の中で処分(戒告・減給)を確定した。これを突破しない限り裁量権逸脱・濫用による全処分取消を勝ち取ることはできない。今でも「最高裁は裁量権逸脱については判断を出していない。裁判は判決文がすべて。」(「君が代・強制」解雇裁判通信 第117号 水口洋介弁護士)との見解がある。しかし、第一波判決文では「上告棄却」「所論の点に関する原審の判断は、以上の趣旨をいうものとして、是認することができる。」(5・30第二小法廷判決)とされている。他の判決も同様である。特に5・30判決の事案は一・二審とも一貫して裁量権問題が争われた。上告理由書には「被上告人の本件処分が憲法19条ないし14条に違反し、裁量権の逸脱、濫用であることは明らか」と提起し、「再任用拒否」と共に「戒告」をも裁量権逸脱・濫用としてその取消を求めていた。

 全処分の取消、教育の自由侵害の憲法判断を勝ち取るために、現実を直視し“19条の枠組”に、さよならしよう。リンク

今後の予定 報道
*河原井・根津停職処分取消訴訟 最高裁第一小法廷 弁論 11/28 10:30
*東京「君が代」裁判一次訴訟 最高裁第一小法廷 弁論 12/12 10:30
*東京・小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 12/13 16:00 424号
*アイム‘89処分取消請求訴訟 最高裁第一小法廷 弁論 12/19 10:30 
*土肥裁判 東京地裁民事第19部判決 12/22 13:30 第527号
 累積加重処分取消訴訟(原告:近藤順一) 地裁判決延期 期日未定 
11/17に裁判所に出かけて頂いた方がいたようで、申し訳ありません。
地裁判決無期延期については、次号で論評したい。

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