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2011年11月15日火曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会 ニュース(第68号)

地裁判決へ向けて争点と運動の結節点!
最高裁弁論~教育の自由と全ての処分取消を②~

田原反対意見(起立・斉唱分離論)の半端な論理

 前号では、宮川反対意見が教育現場を理解しない危険なものであることを紹介した。もう一人の反対意見者である第三小法廷の田原裁判官は「起立命令」と「斉唱命令」を区別して「憲法19条との関係について検討する」として「『起立命令』に限っていえば、多数意見が述べるとおり・・間接的な制約となる面はあるものの、・・その制約を許容し得る程度の必要性及び合理性を有することを肯認できると考える。」という。「日の丸」に正対して起立することこそ教員が強制を受忍していることを児童・生徒に見せることではないのか。ことは、サッカー場やオリンピックでの「日の丸」ではない。また、一般的に学校儀式に国旗・国歌を取り入れるかどうかの問題でもない。国旗(日の丸)は10・23通達によってどこにどのように掲げるかが指定され、従来掲げられてきた卒業制作などが排除されたのである。掲揚が強制され、起立が強制された下での対処である。
 連続する不起立は「殊更に示威的な拒否行動」(大谷裁判官補足意見)ではなく、強制下でも「子どもとの直接の人格的接触」により自主・自立・自由を提示する教育的意義をもつものである。強制・処分は特別の思想・良心・信教をもつ者だけの問題ではなく、自分たちの学校の教育については自分たちで決め実践するという自由への弾圧である。田原反対意見もまた19条の枠を出られず、教育の自由侵害に対する無理解を示している。
 すでに成立した大阪の条例は「大阪府の施設における国旗の掲揚及び職員による国歌の斉唱に関する条例」である。「日の丸」と「君が代」は強制のセットである。
 私の場合は、「日の丸」にではなく生徒に正対して不起立・不斉唱を敢行した。生徒が自分の考えに基づいて行動する意味、つまり学習の自由を提示した。 それこそが憲法を遵守する公務員の責務であろう。これに対して「現認」の名目で起立斉唱を強要することこそ教授の自由に対する干渉であり、校務遂行に対する妨害である。
 裁判官の皆さまには、学校現場の実態、教育の自由の意味をよく理解してもらいたい。裁量権逸脱・濫用を判断するにも、このことが特に重要である。最高裁弁論に向けて双方から関連文書が提示され始めている。次号ではこれを取り上げる。

今後の予定 報道
*再雇用拒否撤回第2次訴訟 地裁口頭弁論 11/21 15:00 103号
*米山処分取消・非常勤不採用取消訴訟 高裁口頭弁論 11/22 15:30 822号
*東京・小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 12/13 16:00 424号
*河原井・根津停職処分取消訴訟 最高裁第一小法廷 弁論 11/28 10:30
*東京「君が代」裁判一次訴訟 最高裁第一小法廷 弁論 12/12 10:30
*アイム‘89処分取消請求訴訟 最高裁第一小法廷 弁論 12/19 10:30 
*土肥裁判 東京地裁民事第19部判決 12/22 13:30 第527号
 累積加重処分取消訴訟(原告:近藤順一) 地裁判決延期 期日未定 


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