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2011年11月19日土曜日

処分取消裁判を支援する会ニュース(第69号)

地裁判決へ向けて争点と運動の結節点!
最高裁弁論~教育の自由と全ての処分取消を③~

11/28弁論への都側「答弁書」~倒錯した論理~

 真っ向から都教委の論理を展開している。10・23通達、職務命令による一律起立・斉唱は「日本人として自覚し、国を愛する心を持つこと」「明日の我が国を担うべき児童・生徒が国旗・国歌を尊重する態度を学ぶことは極めて重要」であるとしている。これに対して不起立・不斉唱は「自己の思想、良心を優先させ」「都教委の措置に対する抗議、反対の意思表明としての」「『確信的』に職務命令に反する行動をと」り「生徒の教育を受ける権利を侵害した」という。双方の教育の正当性が争われている。以下、主要な点を指摘する。

1,裁量権逸脱・濫用の判断基準
「具体的処分が社会観念上著しく妥当性を欠いている場合に裁量権濫用と判断される」として、「諸般の事情を考慮」する必要はないという。これは、3/10高裁判決(大橋裁判長)を否定し、7/25地裁判決(青野裁判長)を肯定したものである。特に後者で示された基準を踏襲している。

2,累積加重処分(戒告・減給・停職)の全てを確定する意図
 「本件各処分のごとき免職に至らない懲戒処分にあっては、比例原則違反により処分が違法となることはほとんど考えられない」として、停職と免職の間に線を引こうとしている。

3,教育実践の意義否定と教育の自由の争点回避

 都教委側は「国旗・国歌の有する意義も時代と共に変遷」したとして「国民の多数意識」が「基礎的知識」として児童・生徒に「指導する」ことを期待しているという。そして連続不起立・不斉唱はそれを「阻害」し「指導効果を大きく減殺」し、「停職出勤」や「卒業文集」に見解掲載、「再発防止研修」への抗議、「受付担当」を拒否し会場で不起立等々を「厳重な非違行為」の証明としている。
 一方、教育の自由については「本件各通達及び本件各職務命令が教員の教育の自由を侵害するものでないことは原判決が判示するとおりである。」と一蹴し「子どもや保護者に与える教育関係上の影響(悪影響)なるものは、上告人らの法律上の利益に関係のない事項であり、これを処分の取消事由(裁量権の逸脱・濫用事由)として主張することは許されない。」と述べる。
 つまり、裁判官や国民に二人への停職処分が当然との印象を与えるには、児童・生徒に対する教育実践を転倒して描くことが最も効果があるとしながら、教育の自由に踏み込むことは避けたいというジレンマに陥っている。都教委「答弁書」は、停職6月の累積処分を科しながら免職という加重処分を阻止したことを報じる新聞記事まで持ち出して、停職処分妥当を強弁している。
 石原都知事も、しばしば“すぐに辞めさせるわけではない。”と言い訳がましく広言している。大阪の「免職処分条例」との関係で、11/27・28はますます重要になってきた。≪やがて来たる者へ≫見るべきものを示さなければならない。

今後の予定 報道
*再雇用拒否撤回第2次訴訟 地裁口頭弁論 11/21 15:00 103号
*米山処分取消・非常勤不採用取消訴訟 高裁口頭弁論 11/22 15:30 822号
*東京・小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 12/13 16:00 424号
*河原井・根津停職処分取消訴訟 最高裁第一小法廷 弁論 11/28 10:30
*東京「君が代」裁判一次訴訟 最高裁第一小法廷 弁論 12/12 10:30
*アイム‘89処分取消請求訴訟 最高裁第一小法廷 弁論 12/19 10:30 
*土肥裁判 東京地裁民事第19部判決 12/22 13:30 第527号
 累積加重処分取消訴訟(原告:近藤順一) 地裁判決延期 期日未定 


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