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2011年7月27日水曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第50号)

論点、争点、キーポイント(結審に向けて 21)
地裁民事19部・青野裁判長不当判決
~「君が代」裁判2次訴訟~

 7/25、上記の不当判決を出した民事19部は、私の累積加重処分取消訴訟で「裁判官の人事異動」により結審延期した係属部でもあり注目していた。青野裁判長は「原告請求棄却」「懲戒処分は裁量権の逸脱濫用に当たらない」という全くの行政追認判決を出した。不起立・不斉唱・不伴奏は「重大な職務命令に対する違反であり軽微な非違行為とはいえない」とされた。
 青野裁判長はわざわざ判決を延ばし、この間の最高裁小法廷判決を踏襲した。強制・侵害をまともに論ぜず「慣例上の儀礼的な所作」として校長の職務命令は憲法19条違反ではないという。また、間接的な制約についても職務命令の必要性、合理性が認められるとした。そして「公務員の法令遵守義務」を強調し秩序維持を優先させた。戒告・減給・停職までも妥当とした。
端的に言えば“裁量権の逸脱濫用=処分取消”に対して外堀を埋めた形となった。1審、2審で争われている訴訟での巻き返しが一層重要になってきた。

教育の自由追求は広範な世論を喚起する

象徴天皇制国家思想の学校教育への全面展開

 第一波の最高裁判決を受けていよいよ下級裁判所の追従が始まった。青野判決が“国家秩序維持”を掲げたのもうなずける。現在の日本国家は「民主的で文化的な国家」(教育基本法前文)、「従属国家」等といわれているが、「日の丸・君が代」との関係では象徴天皇制国家であろう。国旗・国歌法制定時(1999年)の政府見解は今日も生きている。
 「日本国憲法下においては、国歌君が代の『君』は日本国及び日本国民統合の象徴であり、その地位が主権の存する日本国民の総意に基づく天皇のことを指しており、君が代とは、日本国民の総意に基づき、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国のことであり、君が代の歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当である」(小渕恵三内閣総理大臣、後に政府見解)
 「日の丸・君が代」は象徴天皇制国家シンボルとなり「慣例上の儀礼的な所作」(最高裁判決)の対象として公認された。象徴天皇制国家思想は「日の丸・君が代」ばかりでなく、「つくる会」系教科書、愛国心・道徳教育、東京五輪招致、“日本は一つ、がんばろう”等々によって推進されるだろう。

不起立・不斉唱・不伴奏の意義を全面展開しよう

 最高裁判決やそれに追随する下級審判決が懲戒処分を是認しても、3/10高裁判決を生かすためには、不起立・不斉唱・不伴奏の動機、態様、効果を口頭弁論によって積み上げることである。学習権保障の積極的意義を語る必要がある。その点、大橋判決が懲戒処分を取り消した理由に注目したい。
 「生徒に対して正しい教育をしたいなど・・真摯でやむにやまれぬ行為」(=学習権の保障)「控訴人らの歴史観等が独善的なものではない」(=論争的課題)「卒業式が混乱した事実はない」(=否定的要因の有無)「卒・入学式は毎年あり、不起立等を繰り返すと累積加重処分となる」(=教授の自由の一貫性)
 教員としての正当な行為に対し都教委は処分した。裁量権の逸脱濫用は、実は教育の自由(憲法23・26条)の侵害を証明するものでもある。最高裁小法廷の第一波判決は、「その余の上告理由」として教育の自由や不当な支配の禁止を取り上げなかった。多数の「反対意見」「補足意見」は有害なものもあるが、教育の自由、学校現場の自主性・自立を求めるものもあった。最早、19条の枠だけでことを済ませることの矛盾は明らかである。「10・23通達」「職務命令」が学校現場の教育にいかなる影響をもたらしたか、原点にかえって提起すること、ここにこそ精力を注がなければならないと思う。

教科書問題、大阪・不起立条例、憲法改悪反対等の取組と連帯しよう

 この夏は、「日の丸・君が代」問題だけでなく、教育に関わる極めて重要な課題が迫っている。「つくる会」系教科書の内容と最高裁判決は連動している。大阪・不起立条例も含めて06教育基本法の実働化は現実ものとなってきた。
 ある意味ではわかりやすくなってきた。これは教員個人の問題だけではないこと、子どもの未来、日本の未来がかかっていることを訴えたい。

予定:「日の丸・君が代」全国学習・交流集会
8月13日(土)9:30~  (12日に諸行動・交流会)
<場所> 社会文化会館(地下鉄永田町)
停職、減給、戒告、全ての処分の取り消しを求める。
*累積加重処分取消裁判 民事19部 青野裁判長? 
結審 8/22(月)4:30~527号 原告本人の最終陳述 

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