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2013年2月18日月曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第143号)

「日の丸・君が代」処分(戒告から停職まで)累積加重処分取消裁判
~暗雲垂れ込める裁量権逸脱濫用の適用~
都人事委採決<停職1月修正==>減給1月是認


 既報のように、東京都人事委員会は「日の丸・君が代」強制により停職1月処分を受け不服審査請求を行っていた被処分者に対し採決を出した。内容は、停職1月を修正して減給1月を是認するもの。当該者は2012.10.25の高裁判決で別件減給1月・減給6月を取り消されている。最高裁2012.1.16判決及びその後の下級審判決をよく承知している都人事委が減給処分を是認した根拠は何か。
 採決によると「これらの処分歴および行為歴を併せ考慮する」としている。最高裁判決までを見通して「過去の処分歴等」を適用したのか。それとも、学校現場で適用している連続戒告を考慮して、処分量定を減じてもあくまで処分を是認させる不当裁決なのか。今、下級審では最高裁1/16判決に追随しているかのごとく減給以上を取り消しているが、これが最高裁へ行った時、もっと厳密に「過去の処分歴等」を認定し、“不起立という非違行為なのに処分が取り消されるのは不合理だ、少なくとも処分量定を減じて是認すべき”という方向が検討されているのかも。

 私の場合も都側は控訴理由書において「過去の処分歴等」(個別の事情)をたくさんあげつらっている。<2006/注意指導><不起立害悪による式の紊乱><現認時の反論><事情聴取の実質的拒否><再防研修報告書記載・処分のフレームアップ><職務命令に確信的拒否>等。地裁段階では本格的に提示されなかったが、2/26高裁判決(園尾裁判長)ではどうなるか。

都教育の自由の憲法判断を求めて
一審判決は、なぜ「国の教育統制機能」を認定したか


 2012/4/19の一審判決(古久保裁判長)は以下のように判じた。

「旧教基法10条は、国の教育統制機能を前提としつつ、教育行政の目標を教育の目的に必要な諸条件の整備の確立に置き、その整備確立のための措置を講ずるに当たっては、教育の自主性尊重の見地から、これに対する『不当な支配』となることのないようにすべき旨の限定を付したところにその意味があるといえる。」

 まず、判決は、教育権が国家及び地方公共団体にあることを前提としている。06年、第1次安倍内閣による教基法の改定で「国民全体に対し直接責を負って行われる」が削除されたことから、国民の教育権、具体的には地域の住民や学校現場の教職員の自由が狭められたことを前提としている。また、47教育基本法の「不当な支配」の禁止を狭く解釈している。
 国旗(日の丸)国歌(君が代)に対する「敬意の表明」を行うことに賛否複数の考え・行動があっても、儀式の秩序を維持する「必要性・合理性が」認められるので「10・23通達」・職務命令は合憲合法だという。では、児童生徒の学習権保障、公正な判断力や批判力を獲得する学習の自由の視点から見て、「敬意の表明」に反対する意見を知らなくてもいいのか。
 情報では、今、学校現場では「奉仕」「道徳」「特別活動」の名の下に「日の丸・君が代」以外にも様々な教育内容への介入が行われているという。教育の自由に対する憲法判断を勝ち取り、歯止めをかけなければならない。

高裁判決2/26(火)13:15 825号
本訴訟で判断されるべきものは何か。


教育の自由:国の教育統制機能(1審判決)を是認するか。
思想良心の自由:最高裁判決の引き写しは許されない。
裁量権逸脱・濫用:逆転敗訴(全処分是認)の可能性はあるか。
(地裁は戒告是認、減給1月・減給6月・停職1月を取り消した。)
国家賠償を認めるかどうか。(特に停職1月について)

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最高裁大法廷を開くのは、1.16判決を覆(くつがえ)すため!!

 すでに最高裁に上告されている事案当該の皆さまが、最高裁大法廷を開かせ弁論を開始する請求を出していくことを支持します。下記「裁判所法 第十条」にありますように、大法廷を開くのは憲法判断と最高裁判決を変更する時です。従って、最高裁大法廷を開く目的は以下の如くであると考えます。

①    教育の自由について、憲法13・23・26条についての判断を変更
し、最高裁独自の判断をさせる。
②    思想及び良心の自由について憲法19条と、信教の自由について憲法20条について、最高裁判決の内容を変更させる。
③    ①・②により、もしくは裁量権逸脱・濫用により、「過去の処分歴等」との権衡で是認した停職3月への適用を変更させる。
④    ①・②により、もしくは裁量権逸脱・濫用により、それに当たらないとして是認した戒告への適用を変更させる。
⑤    ①・②の憲法判断により、もしくは裁量権逸脱・濫用により、現在上告され審理されている事案についての全処分を取り消させる。

 今後、皆さまと論議して進めていきたい。

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裁判所法


第十条 (大法廷及び小法廷の審判)
 事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。
一  当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。)
二  前号の場合を除いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合しないと認めるとき。
三  憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。

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今後の予定 報道


累積加重処分取消裁判 高裁判決 2/26(火) 13:15 825号
*杉浦再任用更新拒否裁判 地裁口頭弁論3/14(木)14:00第527号
*「授業してたのに処分」事件地裁弁論4/15(月)10:30 第527号
*河原井・根津処分取消訴訟 地裁口頭弁論5/9(木)10:30 第527号
*東京「君が代」裁判3次訴訟地裁口頭弁論5/10(金13:30第103号

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