印刷形態のニュースをご覧になりたい方や、ニュースをダウンロードしたい方は、記事左下「ニュースへのリンク」をクリックしてください。
 オリジナルのニュースを閲覧することができます。


2011年10月15日土曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会 ニュース(第63号)

地裁判決へ向けて争点と運動の結節点!!
走り出した最高裁、大法廷を開け!

教育の自由・不当な支配・裁量権に憲法判断を!
停職・減給・戒告、全ての処分取消を!

最高裁第一小法廷の弁論開始

 係属している三つの裁判で11/28,12/12,12/19に弁論が開かれる。高裁ではそれぞれ停職是認(3/25)、戒告・減給取消(3/10)、戒告取消(3/10)の判決が出された。民事訴訟法319条により、弁論開催によって裁量権逸脱・濫用の適用が見直される可能性があるという。戒告・減給取消が見直されて処分が是認される重大事態である。
 裁量権問題については、戒告・減給を是認した第一波最高裁判決(5/30~7/19)と3/10高裁判決の整合性が問題になるだろう。最高裁の多数意見は上告棄却・原審確定(処分是認)であった。裁量権逸脱・濫用は認められなかったが、以下の反対意見、補足意見は裁判官の間でかなりな議論があったことを示している。
*田原・反対意見:校務運営に相当程度の支障を生じさせるようなものでない限り懲戒処分とすることは原則、裁量権の濫用に当たる。
*宮川・反対意見:起立斉唱は・・人権の尊重などを強調してきた教育者として、その魂というべき教育上の信念を否定することになると思われる。
*須藤・補足意見:強制や不利益処分は可能な限り避けるべきだ。
*岡部・補足意見:命令の必要性や起立しなかったことによる損害など影響の程度などを勘案した結果として、処分を科すことが裁量権の逸脱に当たる場合がある。
*大谷・補足意見:過度の不利益処分をもってする強制や示威的な拒否行動で教育関係者に対立が深まれば教育現場は混乱し、生徒に悪影響を及ばすことが懸念される。

 最高裁大法廷が開かれれば、停職だけでなく全ての処分について取り消される可能性があり、少なくとも、懲戒処分に対して警告・牽制する多数意見がまとめられる意味は大きい。第一波判決は3つの小法廷全てで出されたもので、第一小法廷だけでは判決の変更による処分の取り消しは不可能だろう。
 停職処分はもちろん、減給も戒告も「正しい教育」に対する裁量権逸脱・濫用であり取り消されるべきである。それはこれから出される第二波最高裁判決においても、また、すでに判決が下された戒告・減給処分も破棄される必要がある。このことを最高裁に要請する。

10・23通達、職務命令に憲法違反の判断を

 不起立・不斉唱・不伴奏に対する処分が裁量権の逸脱・濫用である根拠を追及すれば、10・23通達、職務命令が行政の不当な介入・支配であり教育の自由の侵害であることが明らかとなる。上記以外にも最高裁裁判官の次のような意見がある。
*金築・補足意見:職務命令に起因する対立が教育環境の悪化を招けば、児童・生徒も影響を受けるため、慎重かつ賢明な配慮が必要。
*千葉・補足意見:国旗・国歌が強制ではなく、自発的な敬愛の対象となる環境を整えることが重要。

 先の最高裁判決では「上告事由に該当せず」とされたが、今度こそ23条、26条、13条を含め憲法判断をさせなければならない。さらに子どもの権利条約などの国際条約もある。
 「日の丸・君が代」強制、処分は戦後教育史上に画期をなす学校現場への直接的な介入・侵害である。関連裁判は北九州、広島、神奈川、東京を始め新潟、大阪などへも広がっている。周知のように大阪「君が代」条例、処分条例は破壊的な影響をもつ。裁量権の逸脱・濫用問題に解消させることなく、介入・侵害のシステム自体にNOを突きつけるべきだ。

参考資料
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
裁判所法(大法廷及び小法廷の審判)
第10条 事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。
  1. 当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。)
  2. 前号の場合を除いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合しないと認めるとき。
  3. 憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
民事訴訟法(破棄自判)
第三百二十六条  次に掲げる場合には、上告裁判所は、事件について裁判をしなければならない。
一  確定した事実について憲法その他の法令の適用を誤ったことを理由として判決を破棄する場合において、事件がその事実に基づき裁判をするのに熟するとき。
二  事件が裁判所の権限に属しないことを理由として判決を破棄するとき。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

地裁民事19部に、公正な審理、判決を求める賛同署名
~10月末、第2次しめきり、よろしくお願いします~
(判決日の延期により、署名用紙中の文言を一部変更しました。署名していただいた方は送ってください。また署名用紙を請求してください)

今後の予定 報道
*東京「君が代」裁判三次訴訟 地裁口頭弁論 10/14 15:00 527号
*再雇用拒否撤回第2次訴訟 地裁口頭弁論 11/21 15:00 103号
*河原井・根津停職処分取消訴訟 最高裁第一小法廷 弁論 11/28 10:30
*東京「君が代」裁判一次訴訟 最高裁第一小法廷 弁論 12/12 10:30
*アイム‘89処分取消請求訴訟 最高裁第一小法廷 弁論 12/19 10:30 
 累積加重処分取消訴訟 地裁判決延期 期日未定


ニュースへのリンク