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2011年6月16日木曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第39号)

論点、争点、キーポイント(結審に向けて 10) 
最高裁 三度不当判決(第三小法廷、職務命令は合憲)

 本日(6/14)、戒告処分取消を求めて上告していた都教組八王子支部関係3人に対して、最高裁第三小法廷は、職務命令が憲法19条思想良心の自由の侵害にはあたらない、「間接的な制約」についても「秩序確保」「円滑進行」のためには許容されるとした。26条などの教育の自由の点については一顧だにしなかった。
 これで、3つの小法廷全てが、「10・23通達」下の職務命令は19条に違反しないという判決を出したことになる。しかも「間接的な制約も許容される」として、ピアノ判決(2007)とは異なり全教職員対象(一律起立・斉唱)を意識した判決を確定した。
 教育の自由(23・26条)、不当な支配の禁止の鍵をこじ開けなければならない。そのキーポイントは“不起立・不斉唱・不伴奏の教育的意味”である。最高裁多数は<思想・良心から起立・斉唱できなかった>を退けたが、「間接的な制約」の前提である「敬意の表明の要素」に対する「敬意の表明の拒否」の存在を認めた。この「拒否」には児童・生徒に対する教育的意味も含まれていると思う。
 また、「学校の卒業式のような式典において一律に行動を強制されるべきではないという信条」(第二小法廷判決)や「公的機関が一定の価値観を強制することは許されないとの信条」(第三小法廷・田原「反対意見」)のような「信条との関係における制約」は、本来教育の自由の側面から検討されるべきものである。特別活動の儀式的行事という教育課程の中で強制が行われたのである。それによって教授の自由と学習の自由が圧迫、侵害されたことは明らかであろう。追及の余地はある。

一・二審で陣地を獲得することの重要性

 最高裁は、“思想・良心の自由の枠”をがっちり守って「慣例上の儀礼的な所作により直接的な侵害なし」「間接の制約も容認される」とした。教育の自由については「上告申し立て」を受け付けていない。憲法19条・20条について主張を続けることはもちろん重要。しかし、当面特に力点を置かなければならないのは、23条・26条、不当な支配の禁止である。それは一律起立・斉唱の強制下で児童・生徒にどう向きあうかを明確に主張することである。
 3・10高裁判決は「10・23通達」による職務命令が思想・良心の自由を侵害しないとしながらも「正しい教育をしたいという思い」「真摯な動機」「やむにやまれぬ行為」をすくい上げ処分を取り消した。注目すべきは、この高裁判決のポイント部分である原告の教育に関わる主張は地裁中西判決が確定していたところであり、大橋判決でも引用されている。つまりは積み上げである。いかに否定的な要素があろうとも一つ一つ真実を述べていくことである。地裁・高裁での前進によって最高裁も、最低限教育の自リンク由について取り上げざるをえないところにもっていきたい。その可能性はまだ残されていると思う。当面、地裁での前進のために全力をあげたい。

次回口頭弁論(結審)7/11(月)13:30~ 527号 
最終準備書面の提出・原告本人の最終陳述

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