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2010年8月25日水曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第9号)

<F>:地教委の「権限」(都教委「準備書面(1)」への反論シリーズ⑥)

 都教委の弁:「教育委員会(八王子市教委)は・・必要かつ合理的と認められる範囲で、教育の内容及び方法に関しても国に比してより具体的な基準を設定し、必要な場合には具体的な命令を発する権能を有し、その責務を負っているのである。」(P52)
 「『不当な支配』とは国民全体ではない一部の勢力による介入であり具体的には、政党、官僚、財界、労働組合などによる介入ということになる。」(P53)

 ここで都教委が持ち出してくるのが地教行法23条「五 学校の組織編成、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること」を「管理し、及び執行する」「権限」である。これでもって地教委は大綱的基準に縛られないから「10・23通達」や「市教委通達」は不当な介入ではないという。旭川学テ最高裁判決をも曲解し、国と地教委の形式的権限調整の問題を憲法問題の上位に置いている。現場の教職員にとって、日常的に不当な介入の危険性を感じ、また現実に<不起立を監視する市教委職員の派遣>などの介入を行っているのは教育委員会である。これを転倒させて「教育基本法10条1項の立法主旨からしても、地教委の有する教育に関する固有の権限の行使については、原則として同項の『不当な支配』に該当することはない。」(P61)とする。噴飯ものである。
 さらに、儀式の内容、方法は地教行法23条5号により「教育委員会(・・教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどる権限を有する教育長を含む。)と学校(具体的には、学校教育法28条3項、51条、76条により教育課程の編成を含む学校運営上必要な事項をつかさどる権限を有する校長)とが決定するものである。」(P67)という。これでは、学校=校長であり、儀式における「日の丸・君が代」の扱いは教育委員会と校長が決め、不服従者が存在する学校では校長が職務命令を発するのも至極当然ということになる。教育内容や方法は、児童・生徒の意見を聞き、校長も含め教職員が共同して作り上げるという考えは、さらさらみられない。
 都教委の論は、教育委員会が最高裁判決の大綱的基準にも教育基本法の「不当な支配」条項にも縛られないフリーハンドをもつという独断を展開する。

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