「日の丸・君が代」強制処分を強化する勢力
「圧勝」~早めの悪夢
改憲は? 教育は? 裁判は?
2012都政・国政選挙の結果を受けて
自らは都知事選挙に少し関わっただけ。投票以前に大方のマスコミが暗い予想を出していた。それでも結果には唖然とした。戦後最低投票率についても田中優子氏は「この国を『どうでもいい』と思っている人々が40%いるのである。」(『週刊金曜日925号』)と断じている。選挙制度やマスコミの誘導、さらには三極乱立等々に原因を求めても無駄。自業自得、自縄自縛、自暴自棄に陥っても意味がない。敗北を認めて出発しよう。
そこで、明日の安倍政権発足を前に、少しばかり覚悟を決めておきたい。今後いかなる事態が迫ってくるか想像の翼を広げてみたい。
1,改憲は?
国家の最高法規である憲法をめぐって、政権党が一貫して改憲を提示してきた。さらに東京都知事もまた引き続き改憲論者のようだ。
「戦前の日本は海軍と陸軍とがバラバラにやっていた。だけど戦争は総力戦だ。武力の戦争だけじゃなくて全体の総力戦の問題だということで、総力戦研究所というのをつくった。でも、1941年につくったのでは、もう間に合わなかったんです。3~4年前につくっていなければいけなかった。今もそうです。」(猪瀬直樹『国を変える力』)
そして、9条もターゲットだが、まずは「無難」なところから「国旗・国歌の尊重義務」「公的な儀式等では国旗・国歌に対する敬意の表明の義務がある。」と「加憲」される。学校現場のみならず、国・地方自治体のイベントでは国旗掲揚はもちろん、国歌は演奏ではなく斉唱が強制される。
そうなると、抵抗者は憲法違反者、つまりは“非国民”とされる。“非国民”は法的に公的地位から排除される。民衆からは“村八分”にされる。処分は累積加重ではなく、一挙に免職である。
2,教育は?
言うまでもなく、06教育基本法を改定した時の安倍総理が復活したのである。その内容の核心が全面展開される。報道によると「下村氏や義家氏が口をそろえるのが『教員の政治的行為の制限に罰則を設ける』法改正だ。」(毎日新聞2012/12/25)といわれる。「下村氏」とは、あの「自虐史観」攻撃の「教科書検定」強化を提示する下村博文氏である。次期の文部科学大臣の声もある。
また、東京都武蔵村山市教委が発行した「尖閣列島補助教材」のようなものを国家レベルでつくる。愛国心とナショナリズム、ショービニスム(排外主義)は一層あおられる。
3,「日の丸・君が代」裁判は?
司法・立法・行政の相互の影響はどうなるか。教育施策や憲法改定の動向を受けて、「日の丸・君が代」裁判も大きく変貌する。今後の地裁・高裁の判決では、「10・23通達」・職務命令による減給以上の処分が裁量権逸脱濫用であることを認めない。1・16最高裁小法廷判決における減給処分、停職処分の取消を変更するために最高裁大法廷を開き弁論を行う。全ての処分が是認され、教育の自由についても憲法判断が下される。その内容は「国の教育統制機能」(2012・4・19地裁判決)を確認し、旭川学テ判決を事実上変更し、国家及び地方自治体首長の教育権を拡大する。
以上のような政治を国民、都民が選択したことを踏まえなければならない。
私の高裁判決は年明け2/26に下される予定である。どのような政治的影響があるか注目したい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
裁判所法
第十条 (大法廷及び小法廷の審判)
事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。
一 当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。)
二 前号の場合を除いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合しないと認めるとき。
三 憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今後の予定 報道
*東京「君が代」裁判3次訴訟地裁口頭弁論 1/11 15:00 第527号
*「授業してたら処分」事件 地裁弁論 1/21 10:30 第527号
*河原井・根津処分取消訴訟 地裁口頭弁論 2/4 第527号
*土肥裁判 高裁判決 2/7 13:30 第511号
累積加重処分取消裁判 高裁判決 2/26 13:15 825号
ニュースへのリンク