「日の丸・君が代」処分(戒告から停職まで)累積加重処分取消裁判
根本的な憲法判断こそ核心!!
国賠償高裁判決(11/7)は、第一波・二波最高裁判決の枠組内
前進した面と突破すべきこと
根本的な憲法判断こそ核心!!
国賠償高裁判決(11/7)は、第一波・二波最高裁判決の枠組内
前進した面と突破すべきこと
1,思想良心の自由・教育の自由の意義を限定的に承認
この判決は、損害賠償請求を認めて30万円の支払いを命じる背景として「思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面がある・・不起立の理由」「不利益処分をすることが控訴人の思想及び良心の自由に影響を与える」と判じた。また「不起立行為を行った者の不起立の理由等を処分の選択に当たって考慮に入れることは要請されていた」と述べる。
さらに「停職期間中教壇に立てない」「養護学校では、教諭と児童生徒との人格的触れ合いが教育活動に欠かすことができないもの」「控訴人は、児童生徒との触れ合いを特に重視していた」「職務上の不利益が小さかったということはできない」と判じた。判決は教育の自由(学習の自由・教授の自由)を明確に認めていないが、教育活動、児童生徒との関係から「停職処分」を論じている。この点は、教育の自由の憲法判断に繋げることができる。
2,他と比較しての処分量定の不均衡
判決は、「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」において「勤務態度不良(職務命令違反、職場離脱等)は『減給、戒告』とされている。」「停職期間の長短にかかわらず、処分の選択が重きに失する」とした。つまり、停職処分は重すぎるという。
3,職務命令は合憲合法、処分は妥当を明示
そもそも「差戻後の当審」では「損害賠償請求の当否のみが審判の対象」とされた。その上で(最高裁平成23年6月6日判決)と(本件の上告審判決)を引用し「職務命令のうち本件処分の対象となった起立行為を命ずる部分は、憲法19条に違反するものではなく・・重きに失しない範囲で懲戒処分をすることは、基本的に懲戒権者の裁量の範囲内に属する事柄」と判じ、「戒告、減給を越えて停職の処分を選択することが許容されるのは・・『過去の処分歴等』に鑑み」として停職是認もあり得ることを明示している。
また「本件で問題となっているのは、・・懲戒処分に付したこと自体ではなく、懲戒処分のうちでも停職処分に付したことの違法性」であると述べている。
明らかに第一波・第二波最高裁判決の枠組を維持している。
4,国旗国歌法成立時の国会論議を強制処分の根拠とする
当時の小渕総理・有馬文相の「取り扱いを変えるものではない」「適切な指導を期待する」と共に、政府委員の答弁を取りあげ強制・処分を裏付けている。つまり「職務命令を発することもあり得る」「地方公務員法に基づき懲戒処分を行うことができるとされている。」このように野中官房長官を含め閣僚は「強制」しないと言っても、官僚は「職務命令違反による処分」を「強制」と認めていない。
ただ「処分につきましては、その裁量権が乱用されることがあってはならない」が取りあげられているに過ぎない。これまで多くの裁判において、原告側はこの国会論議を強制処分不当の根拠と主張してきたが、判決は何と強制処分妥当の根拠としているのである。
以上の如く、11/7判決は、停職処分に対する裁量権逸脱濫用を指摘し、特に教育の自由の根拠である教員の職務と強制処分の関係を取りあげている。この点こそ今後追及していくべきである。
同時にこの判決が最高裁判決の枠組を堅持し、「10・23通達」・職務命令の合憲合法、戒告処分是認、「規律や秩序を害する程度の相応に大きいもの」は停職処分でも是認されるとしている。
判決の全体を見ないで、“都側の主張はことごとく否定されている”とか、“使えるものを使う”等の把握は誤解を招くものであると言わねばならない。
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裁判所法
第十条 (大法廷及び小法廷の審判)
事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。
一 当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。)
二 前号の場合を除いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合しないと認めるとき。
三 憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。
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今後の予定 報道
*土肥裁判 高裁 口頭弁論 12/6 14:30 第511号
*河原井・根津処分取消訴訟 地裁口頭弁論 12/6 15:30 第527号
*東京「君が代」裁判3次訴訟地裁口頭弁論 1/11 15:00 第527号
*「授業してたら処分」事件 地裁弁論 1/21 10:30 第527号
累積加重処分取消裁判 高裁判決 2/26 13:15 825号
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