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2012年1月30日月曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第80号)

「日の丸・君が代」強制の累積加重処分
(戒告・減給1月・減給6月・停職1月)
一括取消裁判 地裁判決日、決定
4月19日(木)13:10第527号

私の請求内容

*都教委「10・23通達」、八王子市教委「9・22通達」「12・8通達」及び校長の職務命令は、教育の自由(不当な支配禁止、憲法第23・26条)の侵害である。
*「日の丸・君が代」に対する一律起立・斉唱は、「国旗・国歌・国家への忠誠」「敬意の表明」の直接的強制であり憲法第19条に違反する。国旗国歌法・学習指導要領は強制を根拠付けていない。
*強制下の不起立・不斉唱は、生徒に異なる考え・行動を示す教育実践であり、正当な校務である。全ての処分は不当。特に初回の戒告処分はその後の累積加重処分の出発であり裁量権の逸脱・濫用である。


最高裁判決、第二波は更に過酷な高波か!

1・16第一小法廷判決は不当な分離・分断判決
(「(強制・処分に)歯止め」論は根拠無し)
2・9第一小法廷予防訴訟 弁論無しの判決日通告

 1/16に始まった最高裁第二波判決の2段階目の波は、2/9の予防訴訟判決となりそうだ。「国歌斉唱義務不存在確認」を掲げたこの訴訟では、一審「難波判決」で全面勝訴、二審では逆転敗訴となった。弁論が開かれずに判決が下されることから原審(二審)敗訴判決が確定する可能性がある。
 最高裁は、1/16判決で裁量権問題にダブルスタンダードを適用した。一つは処分量定、もう一つは「過去の処分歴等」の評価である。後者では「不起立・不斉唱・不伴奏」はもちろん「強制反対ブラウス着用」「日の丸引き降ろし」「服務事故再発防止研修妨害」「校長批判文書配布」等が俎上にのせられた。評価の基準は「秩序・規律・雰囲気」を乱したかどうか、その「態度」までが取り上げられた。被処分者の学校内外での言動が恣意的な判断材料とされた。
 今回取り消された減給1月は「強制反対ブラウス着用」による戒告と不起立一回の累積処分・減給1月である。連続不起立による減給処分ではない。また、停職3月是認は「過去の処分歴等」を悪用したものである。戒告を分離是認し、累積加重処分に対しても分断してきた。都教委は早速1/24付けで「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」を議決し「今後とも」「これまで通り」強制・処分することを通知した。橋下大阪市長は「分限処分」を狙って「研修」等を強化する教育基本条例の強行成立を図っている。新聞報道等の「一部勝訴・(強制処分に)歯止め」論に根拠も実効性もないことは明らかで、世論をミスリードするものだ。
 昨年の3つの小法廷判決は事実上最高裁全体の判断であり、これを見直すには、小法廷ではなく最高裁大法廷で破棄自判しなければならない。これまで敗訴した方々を含め、裁判所内外の取組を強化し共に進んでいきたい。

今後の予定 報道

*本日土肥裁判 東京地裁民事第19部判決 1/30 13:30第527号
*米山訴訟 高裁口頭弁論 2/2 15:30 第822号
*東京「君が代」裁判第3次訴訟 地裁口頭弁論 2/3 16:00第527号
*予防訴訟 最高裁第一小法廷判決 2/9 13:30
*再雇用拒否撤回二次訴訟 地裁口頭弁論 2/16 15:00 第103号
*都障労組処分取消訴訟 高裁口頭弁論 2/20 14:00 第824号
*東京小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 3/8 16:30 第424号
累積加重処分取消訴訟 地裁判決 4・19(木)13:10 第527号


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2012年1月28日土曜日

処分取消裁判を支援する会ニュース(第79号)

累積加重処分
(戒告・減給1月・減給6月・停職1月)
一括取消裁判 地裁判決
鳴け!ホトトギス、高らかに!!判決日は、ツツジ咲く
4月19日(木)13:10第 527号

 無期延期されていた東京地裁民事第19部(古久保裁判長)の判決日が通告された。去年の8月結審から8ヶ月、最高裁第一波・第二波不当判決を経てようやく決定したようだ。
 4段階の処分量定を一括併合し、その取消を求めている。改めて請求内容を列挙する。

一,都教委「10・23通達」、八王子市教委「9・22通達」「12・8通達」及び校長の職務命令は、教育の自由(不当な支配禁止、憲法第23・26条)の侵害である。
二,「日の丸・君が代」に対する一律起立・斉唱の強制は、「国旗・国歌・国家への忠誠」「敬意の表明」を拒否する歴史観・社会観を直接的に抑圧し、憲法第19条に違反する。国旗国歌法・学習指導要領は強制を根拠付けていない。
三,強制下の不起立・不斉唱は、生徒に異なる考え・行動を示す教育実践であり、正当な校務は処分の対象ではない。特に、初回の戒告処分はその後の累積加重処分の出発であり裁量権の逸脱・濫用である。
四,違憲、違法な「通達」や職務命令に服従することは、受動的ではあるが自らが憲法第99条(憲法尊重擁護義務)に反することになる。教職員に違憲行為を強要することは許されない。

 春たけなわになると、ホトトギスは高く鋭く鳴くという。あまりに鳴きすぎて血を吐き、それが地上に転々と散ってツツジの花になったといわれている。4月も半ば、東京の桜は散っても、いたるところにツツジの花が咲くだろう。赤く、白く、・・
 皆さまの傍聴をお願いします。

今後の予定 報道

*土肥裁判 東京地裁民事第19部判決 1/30 13:30 第527号
*米山訴訟 高裁口頭弁論 2/2 15:30 第822号
*東京「君が代」裁判第3次訴訟 地裁口頭弁論 2/3 16:00 第527号
*予防訴訟 最高裁第一小法廷判決 2/9 13:30
*再雇用拒否撤回二次訴訟 地裁口頭弁論 2/16 15:00 第103号
*都障労組処分取消訴訟 高裁口頭弁論 2/20
*東京小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 3/8

累積加重処分取消訴訟 地裁判決 4・19(木)13:10 第527号


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2012年1月24日火曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第78号)

地裁判決へ向けて争点と運動の結節点!
最高裁第二波不当判決(分離・分断判決)を弾劾する
停職処分に伴う「過去の処分歴等」に差別的・政治的判断!!
連続不起立・不斉唱・不伴奏による減給処分を取り消したのではない!!
戒告は「最も軽い懲戒処分」として是認!!

1,分離・分断判決の核心=強制に反対する多様な行動を敵視

 1/16の最高裁第一小法廷判決は吹雪の中にある。光と影、希望と落胆がない交ぜになっている。2人の処分取消がもつ意味は何か。戒告と停職3月が是認されたのはなぜか。
 まず分離判決とは何か。判決は、都教委「10・23通達」と校長「職務命令」を合憲・合法として違反者に懲戒処分を科す有効なものと認めた。そして、以下のように判じて戒告を是認した。
 不起立行為等の性質、態様は、全校の生徒等の出席する重要な学校行事である卒業式等の式典において行われた職務命令違反であり、当該行為は、その結果、影響として、学校の儀式的行事としての式典の秩序や雰囲気を一定程度損なう作用をもたらすものであって、それにより式典に出席する生徒への影響も伴うことは否定しがたい。
 本件職務命令の違反に対し懲戒処分の中でも最も軽い戒告処分をすることが裁量権の逸脱又は濫用に当たるとは解し難い。(2012.1.16東京「君が代」裁判第1次訴訟 最高裁第一小法廷判決)
 ここでは「秩序や雰囲気を一定程度損なう」「生徒への影響も伴う」と述べていることである。「処分歴」や「態度」を「過去の処分歴等」として「学校の規律や秩序の保持」への影響がある東京の連続不起立に対する減給処分の是非はまだ下されていない。取り消されたのは、ブラウス「戒告」+不起立=減給1月である。北九州ココロ裁判最高裁判決での減給処分は是認されている。
 次に分断判決について。停職3月を是認した理由を次のように述べる。
 卒業式における国旗の掲揚の妨害と引き降ろし及び服務事故再発防止研修における国旗や国歌の問題に係るゼッケン着用をめぐる抗議による進行の妨害といった積極的に式典や研修の進行を妨害する行為に係るものである上、更に国旗や国歌に係る対応につき校長を批判する内容の文書の生徒への配布等・・過去の処分歴に係る一連の非違行為の内容や頻度等に鑑みると・・学校の規律や秩序の保持等の必要性と処分による不利益の内容との権衡の観点から、停職期間(3月)の点を含めて停職処分を選択することの相当性を基礎づける具体的な事情があったものと認められるというべきである。(2012/1/16 停職裁判 最高裁第一小法廷判決)
 ここでも「過去の処分歴」が登場している。最高裁によって敵視され、「前科」「余罪」とされ、処分是認の根拠とされたのは“不起立・不斉唱・不伴奏を含む多様な抵抗と教育実践”である。「歯止め」論などの気休め楽観論を排し、また、分限処分をも許さないために、学校現場の取組と市民の共同による運動を作り、不当判決を破棄自判する最高裁大法廷を開かせる必要がある。2人の処分取消はこの運動の中でこそ意義がある。

2,全ての累積加重処分(戒告・減給<1月・6月>・停職)の取消を求めて!!
~私にも「過去の処分歴等」の「前科」がある~

 上記のように、単純に減給以上が取り消されるわけではない。またそうであっても戒告処分が是認されれば勝利ではない。今後とも、戒告こそ減給・停職という累積加重処分の出発であり不当きわまりないことを明らかにしたい。
 4回の懲戒処分取消を求めているが、実はその前06年3月の不起立・不斉唱がある。職務命令が発せられていなかったので、ほとんど無視状態。そこで、都教委(新宿・多摩事務)、市教委、都議会各派、記者クラブなどへファックスを送った。内容は「10・23通達」反対、八王子市教委通達反対、処分反対と不起立・不斉唱の事実であった。結果は、八王子市教育長の「指導措置」となった。その時はまだ47教育基本法下であった。その年9月難波判決が出され、12月には教育基本法改訂、翌年07年2月ピアノ最高裁判決となった。このような情況におけるささやかな不起立・不斉唱には納得している。
 この「前科」も含めてどうなることやら。ご支援、よろしくお願いします。

 累積加重処分取消訴訟(原告:近藤順一) 地裁判決延期 期日未定 

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2012年1月18日水曜日

新聞報道に見る第二波最高裁判決(2012.1.16)

1/16の最高裁判決について、「累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第77号)」で「不当判決」「分離・分断判決」「さらに進めた不当判決(第一波判決に整合)」と報じた。ところが、いくつかの新聞報道を見て、私の認識とかなり異なることに気づいた。根津さんもそのことを指摘していたので、図書館で確認した。

1,各新聞の報道(見出し)2012.1.17朝刊

毎日:君が代訴訟「減給以上 慎重に」 「やりすぎに歯止め」 都は方針変えず
朝日:重い教員処分慎重に 厳罰の橋下条例案に警鐘 「数回の起立では停職にならず」 「反強制」孤立する教員 若手「面倒避けたい」
日経:停職・減給2人取り消し「特段事情なければ違法」
産経:「戒告まで裁量範囲」 教育に悪影響批判も 悪質妨害は厳罰可能 
東京:停職・減給「慎重に」 大阪府知事「3回で免職」見直しへ 教職員懲戒に歯止め 処分そのものは認める 社説<過剰な処分に歯止めを>
読売:不起立で停職・減給違法 「都の処分重すぎる」 戒告は「妥当」 処分の行き過ぎに歯止め 「不起立繰り返される」都教委幹部表情厳しく 橋下市長;修正に否定的
赤旗:停職・減給取り消し 「裁量権の逸脱」 「教育の自由取り返す」「君が代」訴訟原告ら決意 処分の重度化に歯止め

2,特徴

A:減給1月・停職1月の取り消しを主に取り上げ評価している。
B:都教委の強制・処分に歯止めをかけたとしている。
C:大阪処分条例の動きを牽制したとしている。
D:3紙(産経・東京・読売)が、戒告処分容認を指摘。
E:停職3月是認の根拠を「特段事情」「悪質妨害」としている。

コメント

*すでに、都教委は強制・処分を続けることを表明し、橋下市長は被処分者への「研修」を強化すると述べている。

*大局的に見て、3つの最高裁判決はどれも不当判決であり、戒告是認・停職3月是認を破棄自判する最高裁大法廷が必要だ。

*判決内容については全面検討が必要だが、宮川反対意見について3点指摘しておきたい。
 ①「教科教育」と「式典」「生徒に対し直接に教育するという場を離れた場面」を区別していること。前者では「できるだけ中立的であるべき」、後者では「自らの思想及び良心の核心に反する行為を求められることはない」としている。
 ②不起立行為を「自主的に思考することの大切さ」など「教育上の信念に起因する」と述べているのであって、不起立行為そのものを「自主的に思考することの大切さ」を示すものとは評価していない。
 ③「不起立行為という職務命令違反行為」に対して、「注意や訓告」が適切と述べ、決して職務命令の違憲・違法を提示しているのではない。

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累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第77号)

地裁判決へ向けて争点と運動の結節点!
最高裁第二波不当判決(本日トリプル判決)
~裁量権逸脱・濫用=分離・分断判決(戒告是認)~
停職裁判(停職1月・取消、停職3月・是認)
アイム裁判(戒告・是認)
東京「君が代」裁判(戒告・是認、減給1月・取消)

1,さらに進めた不当判決!!(第一波判決に整合)

 本日(1/16)、最高裁第一小法廷は上記のような判決を下した。総合すると、裁量権逸脱・濫用の適用判断として戒告と減給・停職の間に分離線を引いた。これは第一波判決(2011.5/6/7月)で戒告処分を是認確定したのに整合させた形となった。最高裁が、初回の処分である戒告を是認したことで都教委「10・23通達」と校長「職務命令」を合憲・合法として違反者に懲戒処分を科す有効なものと認めたことになる。
 また、停職3月の処分を是認する理由として、「服務事故再発防止研修におけるゼッケン着用」等「積極的に式典や研修の進行を妨害」、「校長を批判する内容の文書配布」(判決文)を指摘している。被処分者の批判行動を転倒して描き出すものである。戒告是認と共に、学校現場での多様な抵抗運動、児童・生徒への自由の提示を封じ込める政治的意図をもっている。
 この「日の丸・君が代」強制処分の攻撃は学校現場の教育内容への直接的介入という教育の自由侵害に当たるにもかかわらず、「19条の枠組」によって最高裁への追及は奏功していない。これが裁量権逸脱・濫用適用にも不徹底さを残すことになった。第一波判決、今日の判決の反対意見・補足意見を見る限り、国民的運動によって最高裁大法廷を開かせることは可能だ。

2,全ての累積加重処分(戒告・減給・停職)の取消を求めて!!

 私の訴訟の目標はいよいよ明確になった。最高裁は分離・分断判決を下し、戒告を是認した。全ての処分量定を含む訴訟によって、戒告こそ減給・停職処分の前提であり不当きわまりないことを明らかにしたい。裁量権逸脱・濫用の分離適用判決は決して許さない。そのためには、不起立・不斉唱が強制に抗し、生徒に多様な考え・行動を示すものであること、基本的に教育の自由をめぐる鋭い対立があることを明示したい。
 無期延期されている地裁判決は、いまだに期日未定である。皆さまと共に裁判所にプレスをかけ一歩でも、一言でも前進を勝ち取りたい。ご支援、よろしくお願いします。

3,全面的な総括を踏まえて前進しよう!!

 最高裁第一波・二波判決を踏まえて、裁判闘争を含む運動全体の総括が必要となっている。「転戦」や「気休め」は有害だ。裁判・判決では「19条の枠組」「裁量権の枠組」「最高裁追随の枠組」が固められている現実、学校現場の運動の後退を直視しなければならない。

 当面次の諸点での総括を提起する。

A:「日の丸・君が代」強制反対運動の思想・論理、戦後教育史における意義。
B:裁判闘争を含む運動の目標、戦略・戦術
C:運動主体、市民的広がりの形成

今後の予定 報道
*土肥裁判 東京地裁民事第19部判決 1/30 13:30 第527号
*米山訴訟 高裁口頭弁論 2/2 15:30 第822号
*東京「君が代」裁判第3次訴訟 地裁口頭弁論 2/3 16:00 第527号
*再雇用拒否撤回二次訴訟 地裁口頭弁論 2/16 15:00 第103号
*東京小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 3/8
 累積加重処分取消訴訟(原告:近藤順一) 地裁判決延期 期日未定
 

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2012年1月11日水曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第76号)

地裁判決へ向けて争点と運動の結節点!
最高裁第二波判決(1/16トリプル判決を中心に)
~教育の自由と全ての処分取消を~


1,裁量権逸脱・濫用をめぐる2つの視点

 目前の1/16の最高裁第一小法廷の判決は、裁量権問題が“一つの焦点”となる。“一つの焦点”という意味はこれに関して弁論が開かれたからだ。トータルな判決なので、これ以外にも原審を踏襲しさらに踏み込んだ内容、たとえば教育の自由について語る可能性もある。
 これまでの裁判所の見解から見ると、裁量権を判断する視点は2つある。
 まず、処分の根拠となった被処分者の行為をどう見るか、不起立・不斉唱・不伴奏の動機、態様、効果に対する評価の視点である。それを違法な非違行為、「基礎的知識」を教えることを妨害した子どもの学習権侵害と見るのか、意見の分かれる課題に対する正しい教育を追求し結果として職務命令に反したと見るか等である。これは教育の自由に関わることである。
 もう一つは、各処分及び処分量定が「社会通念上」妥当かどうかの視点である。これは裁判官の「社会通念上」の認識にかかっている。そして正に「社会」の動向が反映する。被処分者の経済的精神的負担の程度、子どもとの直接の人格的接触を断ち切るかどうか、子ども・保護者への影響等である。

2,不起立・不斉唱・不伴奏は“「学習指導要領」違反”か?

 最高裁第一波判決(2011/5~7)の究極点は国旗・国歌への「敬意の表明」である、それは思想・良心の間接的制約に該当する(制約該当性)、しかし、それは必要性合理性から容認される(制約容認性)というものである。一つの判決文は次のように述べる。(その他の判決も同様の論理展開)
公立高等学校の教諭である上告人は、法令及び職務上の命令に従わなければならない立場にあるところ、地方公務員法に基づき、高等学校学習指導要領に沿った式典の実施の指針を示した本件通達を踏まえて、その勤務する当該学校の校長から学校行事である卒業式に関して本件職務命令を受けたものである。(2011/5/30申谷裁判 最高裁第二小法廷判決)


教育内容としては結局「学習指導要領」の「国旗・国歌条項」である。
入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。(「学習指導要領 第3節 入学式や卒業式などにおける国旗及び国歌の取り扱い」2008.3公示)

 被処分者の行為は、この「学習指導要領」違反だろうか。裁判官の思考には、<「学習指導要領」は一律起立・斉唱・伴奏を規定しておりそれは合理性・必要性があり被処分者はそれに違反した>との固定観念があるようだ。
 「学習」、「指導」、「指導する」が成り立つには教育の自由(学習の自由・教授の自由)が保障されていなければならない。国旗・国歌を使うのかどうか、多様な考えがあることを踏まえどのように行動するのか等について学校構成員(校長・教職員・児童・生徒)の自由な判断が必要である。都教委「10・23通達」、八王子市教委通達、職務命令の処分を構えた一律・起立・斉唱・伴奏の強制こそ「学習指導要領」を阻害するものである。強制下で教員はある面追いつめられているが、多様な考え・行動を示す好機でもある。被処分者は情状酌量を請う「弱者」でも示威的な拒否行動をする「強者」でもない。やむにやまれぬ行動を開始した来し方・いずれ去らねばならない行く末を考えるだけ。
 不起立・不斉唱・不伴奏は「学習」「指導」の前提をつくり出すという意味では、「学習指導要領」を真に改善・遵守する意義があるともいえる。裁量権判断とも関わって、裁判官の正常な思考展開を望む。

*学習指導要領「国旗・国歌条項」は誤解を避けるため次のように改善したらどうか。
「入学式や卒業式などにおいて国旗・国歌を取り扱う場合には、教育の自由、思想・良心の自由、信教の自由を踏まえて指導しなければならない。」

今後の予定 報道
(最高裁判決:各開廷の60分前~40分前の間に傍聴整理券交付、その後抽選)
*河原井・根津停職処分取消訴訟 最高裁第一小法廷 判決 1/16 13:30
*アイム‘89処分取消請求訴訟 最高裁第一小法廷 判決 1/16 13:30 
*東京「君が代」裁判一次訴訟 最高裁第一小法廷 判決 1/16 15:30

*土肥裁判 東京地裁民事第19部判決 1/30 13:30 第527号
*米山訴訟 高裁口頭弁論 2/2 15:30 第822号
*東京「君が代」裁判第3次訴訟 地裁口頭弁論 2/3 16:00 第527号
*再雇用拒否撤回二次訴訟 地裁口頭弁論 2/16 15:00 第103号
*東京小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 3/8
 累積加重処分取消訴訟(原告:近藤順一) 地裁判決延期 期日未定 


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2012年1月10日火曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第75号)

地裁判決へ向けて争点と運動の結節点!
最高裁第二波判決(1/16トリプル判決を中心に)
~教育の自由と全ての処分取消を~

強引な“最高裁追随の枠組”!!

1,最高裁第一小法廷弁論を経ての判決

 三つの事案それぞれの口頭弁論が開かれ1/16に判決が下されることになった。どのような判決かは予断を許さない。最高裁第一波判決によって戒告・減給が是認確定されたことにより、それとの整合性が図られる可能性がある。その場合、3・10高裁判決(大橋裁判長)が見直され最高裁による「破棄自判」か「破棄差戻し」になる。前者は明確だが、後者の場合も「上告裁判所が破棄の理由とした事実上及び法律上の判断は、差戻しまたは移送を受けた裁判所を拘束する。」(民事訴訟法第325条)という。裁判官もリセットされる。
 また、停職処分事案についても下級審では「累積加重処分」の不当性ではなく「非違行為」の連続とされてきたことからも、すっきりと処分取消となるかどうか、厳しい情況である。「免職」「分限処分」との関係もある。

2,最高裁判決待ちは“最高裁追随の枠組” 

 裁判所法には「上級審の判断は下級審を拘束する」とある。現在、地裁・高裁の口頭弁論や判決を1/16最高裁判決後に延期・先送りする動きがある。私の地裁判決も無期延期されたままである。このことは下級審の裁判所が自ら“最高裁追随の枠組”を認めたようなものである。第二波判決では、最高裁は19条以外にも憲法23条・26条について踏み込んだ判決を下すかもしれない。もちろんそれについては弁論が開かれていないので原審「10・23通達、職務命令は教育の自由を侵害しない」がベースとなる。そうなると、一層厳しい局面となろう。
 今後、下級審では事実審理を積み上げ、可能な限り自立した公正な判決を勝ち取り、裁判所内外の声、特に学校現場の取組、広く市民との共同を進め、最高裁大法廷を開かせることが必要となる。まず、昨年5~7月の不当判決を受けた皆さん、1/16判決を受ける方々と引き続き共闘していきたい。

<資料>
*民事訴訟法
(破棄差戻し等)
第三百二十五条  第三百十二条第一項又は第二項に規定する事由があるときは、上告裁判所は、原判決を破棄し、次条の場合を除き、事件を原裁判所に差し戻し、又はこれと同等の他の裁判所に移送しなければならない。高等裁判所が上告裁判所である場合において、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときも、同様とする。
2 上告裁判所である最高裁判所は、第三百十二条第一項又は第二項に規定する事由がない場合であっても、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原判決を破棄し、次条の場合を除き、事件を原裁判所に差し戻し、又はこれと同等の他の裁判所に移送することができる。
3 前二項の規定により差戻し又は移送を受けた裁判所は、新たな口頭弁論に基づき裁判をしなければならない。この場合において、上告裁判所が破棄の理由とした事実上及び法律上の判断は、差戻し又は移送を受けた裁判所を拘束する。
4 原判決に関与した裁判官は、前項の裁判に関与することができない。

(破棄自判)
第三百二十六条  次に掲げる場合には、上告裁判所は、事件について裁判をしなければならない。
一 確定した事実について憲法その他の法令の適用を誤ったことを理由として判決を破棄する場合において、事件がその事実に基づき裁判をするのに熟するとき。
二 事件が裁判所の権限に属しないことを理由として判決を破棄するとき。
*裁判所法
第四条 (上級審の裁判の拘束力)  上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について下級審の裁判所を拘束する。


今後の予定 報道

(最高裁判決:各開廷の60分前~40分前の間に傍聴整理券交付、その後抽選)
*河原井・根津停職処分取消訴訟 最高裁第一小法廷 判決 1/16 13:30
*アイム‘89処分取消請求訴訟 最高裁第一小法廷 判決 1/16 13:30 
*東京「君が代」裁判一次訴訟 最高裁第一小法廷 判決 1/16 15:30

*土肥裁判 東京地裁民事第19部判決 1/30 13:30 第527号
*米山訴訟 高裁口頭弁論 2/2 15:30 
*東京「君が代」裁判第3次訴訟 地裁口頭弁論 2/3 16:00 第527号
*再雇用拒否撤回二次訴訟 地裁口頭弁論 2/16 15:00 第103号
*東京小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 3/8
 累積加重処分取消訴訟(原告:近藤順一) 地裁判決延期 期日未定 


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