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2012年6月13日水曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第98号)

~「日の丸・君が代」処分(戒告から停職まで)~
平成24年(行コ)第214号 戒告処分取消等請求控訴事件~
高裁第10民事部係属 控訴審を前に
不起立・不斉唱は教育行為か?
非違行為か?それとも不作為か?


不当な支配・教育の自由侵害を照射するために

最高裁第3小法廷の大谷裁判官は第一波判決補足意見の中で「示威的な拒否行動」と述べた。私の不起立・不斉唱はそんなに勇ましいものではない。「示威的」とか「挑戦的」とかではなく、ましてや「挑発的」ではない。大谷裁判官に限らず、教育現場の混乱の原因が教職員の不起立・不斉唱・不伴奏にもあるかのような認識しか持っていないようだ。いや、膨大な陳述にもかかわらず、裁判所に学校の実態を知らしめることに成功していないと言える。
高裁・大橋判決が「正しい教育をしたいという思い」と判じた時、それは単なる裁量権問題ではなく、正当な教育行為の動機を提示したにもかかわらず、教育の自由への主導的展開に結びつけることができなかった。さらにさかのぼれば、あの地裁・難波判決が「起立・斉唱の義務無し」と判じた時、では自分たち教職員にはどんな「義務」があるのかとは考えずに何の「義務」もないかのごとく受けとめてしまったのではないか。強制の重圧があまりにも大きくて。
戦後の多くの日本人が極東国際軍事裁判の成り行きを「観測」し、また“戦争を主導したのは一部の軍国主義者で、日本国民も戦争の被害者”と言われた時、自分たちには“戦争責任がない”と勘違いしたことを想起する。そこでは戦後責任への地道な取組など望むべくもない。この愚を繰り返してはならない。

多様な不起立・不斉唱・不伴奏・抵抗を語ろう

既に報じたように、私の不起立・不斉唱は「原則的」「抑制的」「初歩的」な教育行為であった。生徒に「同調」を求めたわけではなく、スローガンを叫んだり表示を掲げたりしたわけではない。だが、自分の思想・信条に反して起立・斉唱しないと同時に、生徒に多様な考えがあること、それを行動に表してよいことを示す職務があった。それが「直接の人格的接触」を通して行う校務であった。これに対して「教育行為といってはいけない」とする意見もある。「教育行為」でなければ職務専念義務が科せられている卒業式の会場で何をするというのだろうか。
もちろんそれぞれの方にそれぞれの“不起立・不斉唱・不伴奏・多様な抵抗”論があるだろう。「ストライキ論」「不作為論」「退場論」など、ぜひききたいと思う。国旗国歌法、学習指導要領の国旗国歌条項、上司命令、全体の奉仕者論等々をねじ曲げて「規律違反」「非違行為」と決めつける展開が横行している時、私たちは大いに語るべきだろう。

あれこれの「過去の処分歴等」の悪用を許すな

都側は処分を是認させるために裁判の準備書面で、枝葉末節、中にはこともあろうに正常な民主的行為までもあげつらって「秩序を乱した」「進行を妨げた」などとしている。私の場合、都側も控訴したようなのでおそらく「過去の処分歴等」を提示してくるだろう。また、不起立・不斉唱の「意図」を問題にするかもしれない。教育の自由を保持する行為を転倒して描くのを許すわけにはいかない。
1/16最高裁分離分断判決において、停職3月を是認したケースで取りあげられた「過去の処分歴等」は前世紀の積極的な教育の自由保持行為である。このような不条理を糾すためにも、各訴訟において「受け身の言い訳」ではなく強制下の自由追求を語らなければならない。先駆のカナリアを悲劇のヒロインにしてはならない。
高裁への要請署名を開始しました。第1次集約の締め切りは7月末です。今回は高裁への要請です。前回ご協力いただいた方も再度お願いします。

今後の予定 報道

*河原井損害賠償差し戻し審 高裁口頭弁論 6/20 11時 812号
*都障労組処分取消訴訟 高裁判決 6/27 13:15 第824号
*「授業してたら処分」事件 地裁弁論 7/9 11:00 第527号
*東京小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 7/17 15時 第825号
*東京「君が代」裁判2次訴訟 高裁口頭弁論 7/20 14:00 第101号
*河原井・根津処分取消訴訟 地裁口頭弁論 7/23 16時 第527号
*米山処分取消・不採用取消裁判 高裁口頭弁論 8/7 15:30 第822号
*東京「君が代」裁判3次訴訟地裁口頭弁論 9/28 15:00 第527号

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2012年6月6日水曜日

署名用紙 東京高裁への要請


東京高等裁判所第10民事部 裁判官 様

公正な審理、判決を求めます


2003年に東京都教育委員会が発した「10.23通達」によって、東京都の全ての公立学校の入学式、卒業式等で「日の丸・君が代」に対し一律起立・斉唱の強制が続いています。さらに八王子市教委は、都教委「通達」と同じ内容の「9.22通達」「12.8通達」を発し、校長は懲戒処分を構えた職務命令を出しました。多様な考え、多様な行動の自由を示す不起立・不斉唱によって4度の処分を受けその取消を請求して提訴しました。
4/19に東京地裁は、減給1月・減給6月・停職1月を取り消しましたが、戒告処分を是認しました。また、「国の教育統制機能」を認めて通達・職務命令を合憲・合法と判じました。以下のことを要請します。


〔要請項目〕

1,「日の丸・君が代」に対し一律起立・斉唱を強制することは教育への「不当な支配」を禁じた教育基本法第16条に違反し、教育の自由(子どもの学習の自由・教職員の教授の自由)を定めた憲法23条、26条に違反する点について公正な判断をすること。
2,都教委「10.23通達」、八王子市教委「通達」、職務命令は憲法19条(思想・良心の自由)、20条(信教の自由)及び国際条約に違反する点について公正な判断をすること。
3,戒告を含め全ての累積加重処分は、都教委の裁量権を逸脱・濫用したものであることについて公正な判断をすること。
署名用紙へのリンク

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第97号)

~「日の丸・君が代」処分(戒告から停職まで)取消請求裁判・平成24年(行コ)第214号事件~
控訴=>いよいよ二審、高裁第10民事部に係属


主要な争点

*「10・23通達」・八王子市通達・職務命令(一律起立・斉唱)は不当な支配・教育の自由侵害
*不起立・不斉唱は正当な教育活動
*戒告を含む全処分は裁量権逸脱・濫用

2003年度以後、がらりと変わった卒業式

「10・23通達」後、2004年の卒業式は世田谷区立新星中学校(現三宿中)だった。ちょうど次年度から統合することが予定されていた関係で新しくできた多目的ホールで行われた卒業式は、正面に「日の丸」、ピアノ伴奏(以前はテープ)による「君が代」斉唱だった。4月に異動した八王子市立第五中学校でも「日の丸」によって生徒の卒業制作は正面からサイドに、翌年は場外に押し出された。2007年から職務命令が発せられた。

一貫して主張=>式次第から「国歌斉唱」を削除


都教委及び地裁判決は、学習指導要領の国旗国歌条項を根拠に「掲揚・起立・斉唱・伴奏が行われるべきだった。」と主張している。まず、事実として、現行学習指導要領の国旗国歌条項は、1989年に告示されたのと同じ内容が2008年改訂でも継続されている。2003年「10・23通達」以前の14年間は、「指導するものとする」を踏まえて各学校で総意を結集して対応していた。
私は、外国籍生徒や残留孤児など戦争被害者が多く在籍している夜間中の実態から、卒業式実施(案)審議の職員会議で「国歌斉唱」をしないよう提案してきた。そのような余地を認めない「10・23通達」は旭川学テ最高裁判決も判じた不当な支配である。もし、違憲・違法な通達・職務命令に従うなら、私自身が憲法99条(公務員の憲法尊重・擁護義務)に反することになる。

強制下=>不起立・不斉唱は原則的・抑制的・初歩的な教育活動

それでも一律起立・斉唱が決定実施され処分を構えた職務命令が発せられるので、職務専念義務が科せられている教育公務員として「公正な判断力」を育成するため多様な考え多様な行動を示す不起立・不斉唱を実行した。
原則的とは、はっきりと強制に反対し対立論争的課題に対する学習の自由・教授の自由を示すこと、生徒に同調させることを意図しない。抑制的とは、式の目的を考えその進行を妨げるようなことをしない、例えば、スローガンを叫ぶとか表示するなどを避ける。初歩的とは、式での教育活動はその場限りのことではなく、授業など学校内外の行動で説明責任を果たす。
不起立・不斉唱を「規律違反」「非違行為」とする判決は不当であり許されない。

高裁審理の傍聴・支援もよろしくお願いします。
高裁への要請署名を開始します。ご協力を。

今後の予定 報道

*再雇用拒否撤回二次訴訟 地裁口頭弁論 6/7 15:00 第103号
*河原井損害賠償差し戻し審 高裁口頭弁論 6/20 11時 812号
*都障労組処分取消訴訟 高裁判決 6/27 13:15 第824号
*「授業してたら処分」事件 地裁弁論 7/9 11:00 第527号
*東京小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 7/17 15時 第825号
*東京「君が代」裁判2次訴訟 高裁口頭弁論 7/20 14:00 第101号
*河原井・根津処分取消訴訟 地裁口頭弁論 7/23 16時 第527号
*米山処分取消・不採用取消裁判 高裁口頭弁論 8/7 15:30 第822号

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2012年6月1日金曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第96号)

~「日の丸・君が代」一律起立・斉唱の強制下~
校長はどうするのか? 先生はどうするのか?
保護者はどうするのか? 来賓はどうするのか?
友達はどうするのか?そして、自分はどうするのか?

儀式の全てから学ぶ
児童・生徒はミタ!!


~5/31,2つの高裁口頭弁論を傍聴して~
「日の丸・君が代」強制を強弁する都側代理人


まず<10人訴訟>の控訴人尋問。都側は急きょ反対尋問を主尋問に切り替えた。その目的は最高裁判決の「過去の処分歴等」を再確認させるためだった。
都側代理人は、最初から「10・23通達」・職務命令の違憲・違法性を抜きに「国旗を掲揚すべきかどうか。」と問う。ここでも学習指導要領の国旗国歌条項が一律起立・斉唱を示しているかのごとく錯覚を偽造する。
後は、「写真」などを示して裁判官に控訴人に対する悪印象を植え付けようとしたり、人事委員会採決や最高裁判決で処分等が確定したことを盛んに強調した。その中で「あなたは家庭科の教員であって、社会科の教員ではない。」というくだりがあった。従軍慰安婦・共生社会・オウム事件などの授業をしたこと自体に対する非難のようだが、これは、図らずも「日の丸・君が代」の歴史性・社会性について教えなくてよい、従わせるだけ、という非教育的姿勢を示した。
総じて、「日の丸・君が代」の強制は入学式・卒業式などだけでなく、教育課程全般に及んでいること、不起立・不斉唱を含む多様な取組の実践は、児童・生徒の学習に応えるものであることを示した。

前提を欠く独善に固執する都側の主張


次に<米山解雇訴訟>の口頭弁論。都側の準備書面(2)が出された。「重要な学校行事」「重要な職務命令」「重大な非違行為」という表現を繰り返している。そして、「公教育の根幹である学習指導要領」として、特に不起立・不斉唱を「児童を目の前にして起こした非違行為」「絶対にしてはならないこと」とまで決めつけている。
ここへ来てもまだ、学習指導要領の「学習」「指導」「指導するものとする」が、不当な支配を禁止した教育基本法や教育の自由を確定する憲法を前提としなければならないことが裁判官にも理解されていないようだ。「日の丸・君が代」などの対立的論争的課題を扱うのに儀式という場は最もふさわしくない、クラスや小グループでのディベートが適しているかもしれない。ましてや、その対立論争を覆い隠して、一糸乱れぬ掲揚・起立・斉唱・伴奏を<挙行>するのは愚の骨頂である。最もふさわしくない場で、最もふさわしくない強制が実施される時、「子どもとの直接の人格的接触」をもつ教職員は何をすべきだろうか。
2つの裁判を傍聴して、「日の丸・君が代」裁判を狭い裁量権問題に矮小化してはならないのであって、不当な支配の禁止・教育の自由・人権規約をめぐる本格的な論争が期待されていると感じた。受け身はよくない。

高裁審理の傍聴・支援もよろしくお願いします。

今後の予定 報道

*再雇用拒否撤回二次訴訟 地裁口頭弁論 6/7 15:00 第103号
*河原井損害賠償差し戻し審 高裁口頭弁論 6/20 11時 812号
*都障労組処分取消訴訟 高裁判決 6/27 13:15 第824号
*「授業してたら処分」事件 地裁弁論 7/9 11:00 第527号
*東京小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 7/17 15時 第825号
*東京「君が代」裁判2次訴訟 高裁口頭弁論 7/20 14:00 第101号
*河原井・根津処分取消訴訟 地裁口頭弁論 7/23 16時 第527号
*米山処分取消・不採用取消裁判 高裁口頭弁論 8/7 15:30 第822号

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2012年5月25日金曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第95号)

~「日の丸・君が代」累積加重処分~
4/19地裁判決:裁量権逸脱・濫用により
減給1月・減給6月・停職1月を取り消す
都側も控訴!!

減給以上の処分取消を受け入れず話し合い・妥協・和解の余地無し今後も処分強化の意図あり

 4/19地裁判決は、都教委「10・23通達」・八王子市通達・職務命令を合憲合法とし、不起立・不斉唱を「非違行為」として戒告を是認した。基本的には不当判決であるが、それでも、最高裁に追随して減給以上を取り消した。ところが、都側はこの裁判所の警告、単純累積加重処分は裁量権逸脱・濫用に当たるという判決にさえ抵抗しようとしている。違法な裁量権逸脱・濫用などないかのごとく傍若無人である。
 4/5に教育の自由裁判をすすめる会の共同代表9氏が「共同アピール」を出した。それは「最高裁判決の主旨に基づき」「最高裁判決の示唆するところを読み取り」都教委に対して「具体的改善策を策定し関係者すべてに提示」「話し合いの場を設定」することを要望している。都教委はあくまで違法とされた減給・停職を是認させようとしている。「紛争を解決する」どころか、「最高裁の趣旨」に逆らって強制・処分路線を突き進んでいる。「話し合い」のテーブルに着くはずがない。妥協・和解は論外だ。
 さらに、一応世論を気にして、今年の卒業式・入学式では戒告処分にとどめているが、「減給以上は違法」に対して争う姿勢を示していることから、「服務事故再発防止研修」を強化しいつでも処分をエスカレートさせ分限免職にもっていく可能性もある。まず、学校現場の強制・処分を止めなければならない。大阪の処分条例の実働化に反対する。
 「日の丸・君が代」裁判はいよいよこれから教育の自由を軸として、教育基本法の「不当な支配」・憲法23・26条が争点となるだろう。処分を構えた一律起立・斉唱の強制か、多様な考え行動を示す不起立・不斉唱か、どちらに道理があるのかを問いたい。市民の皆さまの支援をお願いします。

 これで、原告・被告双方が控訴し、双方が控訴人・被控訴人になる。望むところだ。憲法論議をしよう。

不起立・不斉唱・不伴奏は「非違行為」ではない。
都教委は全ての処分の裁量権逸脱・濫用を認めよ。
都教委は「10・23通達」を執行停止せよ。
これ以上の処分をやめること。

高裁審理の傍聴・支援もよろしくお願いします。

今後の予定 報道

*河原井・根津処分取消訴訟 地裁口頭弁論 5/28 16時 第527号
*東京小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 5/31 14時 第424号
*米山処分取消・不採用取消裁判 高裁口頭弁論 5/31 15:30 第822号
*再雇用拒否撤回二次訴訟 地裁口頭弁論 6/7 15:00 第103号
*河原井損害賠償差し戻し審 高裁口頭弁論 6/20 11時 812号
*都障労組処分取消訴訟 高裁判決 6/27 13:15 第824号
*「授業してたら処分」事件 地裁弁論 7/9 11:00 第527号
*東京「君が代」裁判2次訴訟 高裁口頭弁論 7/20 14:00 第101号

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2012年5月15日火曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第94号)


~「日の丸・君が代」累積加重処分~
地裁不当判決=>控訴へ


控訴の主な理由


1,教育の自由(憲法23・26条)を明確に
~「国の教育統制機能」論を打破する~
2,思想良心の自由(憲法19条、国際規約18条)
の侵害~「慣例上の儀礼的所作」「敬意の表明」の強制~
3,戒告処分は不当な裁量権逸脱・濫用
~不起立・不斉唱は非違行為ではない~

地裁判決=>不当な支配(教基法16条)に対し行政権力介入容認判決


 判決は「国の教育統制機能を前提としつつ」「許容される目的のために必要かつ合理的と認められる介入は、例え教育の内容及び方法に関するものであっても、必ずしも同条の禁止するところではない」「この理は、地方公共団体においても何ら異なるところはない。」としている。
旧教基法前文や学テ判決を持ち出しながら結論はとんでもない介入・不当な支配を容認している。特に国家の教育権を復活強化する判決内容は今後の関連裁判にも影響する可能性があり、看過できない。

地裁判決=>通達・職務命令に対し必要性・合理性の無条件容認判決

 判決は「都教委及び市教委は、学習指導要領に基づく入学式、卒業式における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施につき、一層の改善、充実を図る必要があるとして、・・本件各通達を発出した」「本件各通達を踏まえて発令された本件各職務命令」は「不当な支配」に該当しない、とする。
 学習指導要領は、一律の起立・斉唱を強制するものではない。そもそも学習・指導・「指導するものとする」の前提は、教授の自由・学習の自由が保持されていなければならない。

地裁判決=>不起立・不斉唱を非違行為として都教委の主張・戒告処分を追認

 判決は「都教委が、原告の本件第1職務命令違反の非違行為を理由に、懲戒処分の中で最も軽い戒告処分を選択したことについては、社会観念上著しく妥当を欠くものとはいえず」として裁量権逸脱・濫用を認めなかった。
 私の不起立・不斉唱は、生徒に「日の丸・君が代」には多様な意見・行動があることをはっきりと示し公正な判断力を育てるために行ったもの。これは初歩的な校務遂行であり非違行為ではない。戒告は累積加重処分の出発として科されたものでその不利益、精神的圧迫は「軽い」ものではない。

この判決内容について、多くの皆さまの論評を求めます。
高裁審理の傍聴・支援もよろしくお願いします。


今後の予定 報道


*東京「君が代」裁判第3次訴訟 地裁口頭弁論 5/25 15時第527号
*河原井・根津処分取消訴訟 地裁口頭弁論 5/28 16時 第527号
*東京小中「君が代」裁判 高裁口頭弁論 5/31 14時 第424号
*米山処分取消・不採用取消裁判 高裁口頭弁論 5/31 15:30 第822号
*再雇用拒否撤回二次訴訟 地裁口頭弁論 6/7 15:00 第103号
*河原井損害賠償差し戻し審 高裁口頭弁論 6/20 11時 812号
*都障労組処分取消訴訟 高裁判決 6/27 13:15 第824号
*「授業してたら処分」事件 地裁弁論 7/9 11:00 第527号
*東京「君が代」裁判2次訴訟 高裁口頭弁論 7/20 14:00 第101号

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2012年4月29日日曜日

4/19地裁判決を受けて

~「最高裁追随の枠組」判決に潜ませた「国の教育統制機能」~

累積加重処分取消裁判 原告 近藤順一

 「東京都教育委員会が・・・各懲戒処分をいずれも取り消す。」
 古久保裁判長の主文冒頭の言い渡しに、満席の傍聴席は少しざわめいた。まもなく、ほとんどの方が内容を理解されたようだ。この事案は極めて単純明快。それだけに判決の意図も表面上は単純そうに見えた。まず、経過を示そう。

1,累積加重処分と処分取消訴訟の経過

2006/3 卒業式で不起立・不斉唱 八王子市教育長「注意指導」
①    2007/3 卒業式で不起立・不斉唱・・戒告処分
②    2008/3 卒業式で不起立・不斉唱・・減給1月
③    2009/3 卒業式で不起立・不斉唱・・減給6月
④    2010/3 卒業式で不起立・不斉唱・・停職1月
2010.2.20 ①②③について提訴
2010.10.5 ④について提訴
2010.10.8 ①②③④について併合決定(2011.5/30~7/19 第一波最高裁判決)
2011・7/11 結審予定・・延期(青野裁判長)
2011・8/22 結審(古久保裁判長)
2011・11/17 判決予定・・無期延期
(2012.1/16・2/9 第二波最高裁判決)
2012・4/19 判決(地裁民事19部)

主文

1 東京都教育委員会が、平成20年3月31日付け、平成21年3月31日付け及び平成22年3月30日付で原告に対してした各懲戒処分をいずれも取り消す。
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、これを2分し、その1を原告の、その余を被告の各負担とする。

≪目に青葉 山ホトトギス 初鰹≫
 この判決は3つの“初”を意味した。まず、最高裁判決後、初の下級審判決、そして、ひとりの被処分者の全処分量定、初の一括判決、さらに、この春の卒業式・入学式後、初の判決である。一人原告訴訟の地裁判決という地味な裁判ステージを少し浮上させた由縁である。

2,見え見えの「最高裁追随の枠組」判決

 まず、上記の結審、判決の延期経過からわかるように、東京地裁は最高裁判決を姑息な目で窺ってきたものと思われる。そして、憲法第19条判断では「10・23通達」「八王子市通達」職務命令は合憲、合法であり、「敬意の表明」強制は間接的に制約するが、職務命令には学習指導要領に照らして必要性・合理性があり制約容認性があるとした。
 裁量権問題では、戒告是認、減給1月・減給6月・停職1月を取り消した。特に戒告是認の根拠として次の点を上げている。

A:いかなる懲戒処分をするかは懲戒権者の裁量権にあり、「その判断は、それが社会観念上著しく妥当性を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に、違法となる」とする。(これは、直近の2011・7・25地裁判決<青野裁判長>を踏襲している。)
B:2006年の不起立に対する八王子市教育長の「注意指導」、校長の職務命令を「遵守しない」、卒業式の現認時「起立を促されたがなおもこれに従わなかった」。
C:「非違行為を理由に、懲戒処分の中で最も軽い戒告処分を選択したことについては、社会観念上著しく妥当を欠くものとはいえず」とした。

 被処分者がどのような意図で不起立・不斉唱を実行したか、職務専念義務が科されている中での強制に対して生徒に異なる考え、異なる行動を示した教育的意義については全く考慮しない。さらに、不起立・不斉唱という正当な教育実践に対する現認時の不当な干渉を転倒して描き出している。副校長こそ教職員の校務遂行を妨害したのである。また、戒告処分が経済的損失、「再発防止研修」の強制、以後の累積加重処分への精神的圧迫、さらには再雇用の拒否などの重大な結果を引き起こすことが考慮・判断されていない。決して「軽い処分」ではない。このことを裁判官に認めさせ、戒告を取り消させなければならない。減給以上の処分については最高裁判決を援用して取り消した。
 以上のような「最高裁追随の枠組」判決は、減給以上を取り消したものの基本的には不当な判決であり、裁判所の独立、三審制の意味さえ疑われるものとなった。
*裁判所法第4条:(上級審の裁判の拘束力)上級審の裁判所の裁判における判断はその事件について下級審の裁判所を拘束する。

3,    教育の自由を否定する「国の教育統制機能」論

 憲法23・26条について、判決は「入学式、卒業式は・・教科等の授業とは異なり、全卒業生、全入学生、在学生等が参加し、保護者、種々の学校関係者の協力を得て行われる儀式であり、・・一律に定めて実施しようとすることは、儀式としての性格上必要性がある」として、「通達」職務命令の違憲性を否定している。これは、明らかに形式論の展開によって各教職員の教授の自由を否定し、一律起立・斉唱の強制をあからさまに是認しているのである。
 判決は「卒業式の式典の運営等が校務の一内容である以上、本件中学校長が本件職務命令を発することができることは明らかである。」として、儀式における統制を重視している。この点、宮川反対意見が「直接指導する場を離れた場面」としているのとは異なる。
 不当な支配(教育基本法16条)の問題で特に注目するのは、47教育基本法の前文、第10条を曲解し「国の教育統制機能を前提としつつ」「許容される目的のために必要かつ合理的と認められる介入は、たとえ教育の内容及び方法に関するものであっても・・禁止するところではない」「この理は、地方公共団体においても何ら異なるところはない。」として、国家の「行政権力」と地方の「教育委員会」が一体となって教育に介入、命令することを認めている。従来の判決が、“国は大綱的基準の枠に縛られるが、地方教育行政・教育委員会は指導、助言さらに命令を出せる”としていたのを、大枠としての国家の「教育統制機能」を認めている。これは、現行教育基本法の「教育の目標」(第二条)や「教育振興基本計画」(第十七条)により今後一層強化されるであろう教育内容への介入を容認するものである。また、大阪をはじめ地方行政の首長の強権とのバランスで中央政府の権限強化を図るものである。
 また、「日の丸・君が代」裁判の焦点が、学校教育への不当な介入・支配、教育の自由侵害に移る時先手を打って国家の教育統制に対する合憲・合法の枠組を形成しようとするものであり、極めて危険な動向である。

 多くの方々に支えられて何とか地裁判決まできた。公正な審理・判決を要請する署名に協力していただいた方、具体的なアドバイスを示してくれた方など直接、間接の援助を頂いた。心から感謝致します。
 判決が下された同日には、大阪市教委が3月の卒業式で不起立した教員の処分を発表した。条例施行が背景にあり、これらの教員は入学式では物理的に式典から排除されたそうだ。
 報道によると、都教委はこの判決に対して対決姿勢を示している。
「都教委は『判決は遺憾。今後とも職務命令違反については厳正に対処していく』とのコメントを出した。」(朝日新聞)
「都教委の大原正行教育長は『減給・停職処分についての判決は遺憾。内容を確認して訴訟対応したい』とコメントした。」(読売新聞)
 都教委は、戒告はもちろん減給・停職処分が裁量権逸脱・濫用であることを決して認めていない。そして、引き続き強制・処分を強行しようとしている。一日も早く「10・23通達」を執行停止させなければならない。
 全国で“不起立・不斉唱・不伴奏を含む多様な取組”を進める教職員の皆さま、自由を求める市民の方々、共に裁判を闘う仲間と共に控訴し、教育の自由確保、戒告取消に向けて進んでいきたい。


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