論点、争点、キーポイント(結審に向けて 7)
橋下「国旗・国歌条例(案)」の強権と巧妙
ついに出された「条例(案)」を読むと、教育基本法の理念を貫徹すること、都教委「10・23通達」の「足らざるところ」を補強することを目指しているようだ。
前者については分かりやすい。「条例(案)」の第1条(目的)と教育基本法第二条(教育の目標 五)は、字句までほとんど同一。「伝統と文化を尊重」「我が国と郷土を愛する」「国際社会の平和と発展」橋下知事にとってはこれほど明確な理念を公的場面で実現するのは当然ということだろう。その道具が「国旗・国歌」である。「愛国心」も「国際貢献」も多様な意見が存在する問題ではなく、突き進むべき課題とする。その主体は「府民、とりわけ次代を担う子ども」。
後者については、一挙に大阪府内の公立学校(小・中・高・特別支援学校)全てに直接強制を図っている。「服務規律の厳格化を図る」ことが目的だから「教職員」が直接のターゲットである。すでに出されている反論において「国旗・国歌法」成立時の国会で「強制はしない」「立っても立たなくてもよい」という野中官房長官等の言が持ち出されているが、同時に有馬文部大臣や矢野政府委員は「職務上の責務」「懲戒処分を行うことができる」と述べている。橋下知事は、東京のような単純な累積加重処分や停職6か月の頭打ちではなく免職までもっていこうとしている。
こう見てくると、強権と巧妙な策略によって教育の自由を圧殺しようとしているといえる。「思想・良心・信教の自由」一般ではなく、矛先はまっすぐに学校と教職員に向かっている。私のような“無党派浮遊層”を含めて学校現場での正確な反撃、そして府民、国民との共同した取り組みが必要である。
2つの最高裁判決 予告
最高裁の二つの小法廷は、口頭弁論を開かず、判決期日を指定してきた。次の2件である。
南葛飾(定時制)元教員嘱託採用拒否事件 5/30 第2小法廷
嘱託不採用撤回裁判 6/6 第1小法廷
*憲法、教育基本法の判断に踏み込むかどうか、注目される。
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次回口頭弁論(結審)7/11(月)13:30~ 527号
最終準備書面の提出・原告本人の最終陳述
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