印刷形態のニュースをご覧になりたい方や、ニュースをダウンロードしたい方は、記事左下「ニュースへのリンク」をクリックしてください。
 オリジナルのニュースを閲覧することができます。


2011年7月28日木曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第51号)

論点、争点、キーポイント(結審に向けて 22)
踏まれても立つ!! 連帯の意気高く!!
~不当判決(地裁民事19部)を超えて、共に闘う皆さまへ~

 東京「君が代」裁判第2次訴訟に対して下された判決文(青野裁判長)を読んだ。この150ページ余りの文章は単純だ。その体裁は、ごまかしの「公平性」を装う。前半の争点部分は形式的に原告・被告の主張を並列し、「争点に対する判断」部分でも一つ一つ原告の論旨を否定していく。その論拠は、都教委(被告)への追従と最高裁小法廷判決のコピーである。「慣例上の儀礼的所作」「秩序の確保」「円滑な進行」によって、「10・23通達」「職務命令」は合憲合法であるという。そして、国―行政―校長の縦ルートの秩序を守り抜こうとする堅固な意志を示す。
 また、裁量権問題でも原告の不起立・不斉唱・不伴奏に対してひたすら悪意に満ちた評価を並べている。3・10大橋判決(戒告処分取消)と3・25加藤判決(停職処分是認)の違いの根拠もまたこの評価にある。私もこの間このような裁判官に向かって語ってきたかと思うと愕然とする。しかしやはり現実から出発しなければならない。もう一度この判決が被処分者(原告)の行動をどう見ているかを確認しておきたい。これからの闘いへの連帯と共同のために。
 “判決は不起立・不斉唱・不伴奏をどう見たか”

~処分は裁量権を逸脱、濫用したものではないとする理由~
判決文(争点に対する判断)から

「児童・生徒に範を示すべき立場にある教職員」
「上司の職務上の命令違反にあたり、地公法32条違反」
「教職員の職の信用を傷つける行為」「教職員全体の不名誉となる行為」「地公法33条違反」
「重要な職務命令に違反するという重大な非違行為」
「教育上好ましくない」
「職務命令を公然と無視したという看過できない非違行為」
「生徒や保護者が参列し、厳粛かつ清新な雰囲気で挙行されるべき卒業式等の場面において公然とされた」
「卒業式等の進行自体に具体的な支障がなかったとしても、本件不起立等を軽微な非違行為であるということはできない」
「不起立が懲戒処分の対象となることを十分認識していたにもかかわらず、同種の非違行為である本件不起立をあえて繰り返したと評価される」
「減給処分10分の1・1月を科したことが社会通念上著しく妥当を欠くとまではいい難い」
「教職員として学習指導要領(国旗国歌条項)に沿った教育指導を行うべき立場にあるにもかかわらず、学校行事である卒業式等において公然と職務命令違反行為である本件不起立等を行った」
「4度にわたって同種の職務命令違反を繰り返すということは通常想定し難い事態であり、同原告の本件不起立は確信的な職務命令違反行為である」

不当処分撤回へ 

 ここには“正しい教育をしたいという真摯な動機”等の評価はどこにもない。それ以前に聞く耳を持たないというかたくなな姿勢である。とりわけ、一貫した行動をしたものは“確信犯”として累積加重処分が当然とされている。この間の最高裁判決は戒告処分を是認したが、地裁民事19部は戒告・減給・停職処分の全てを妥当とし、裁量権の逸脱、濫用はないとした。この不当判決を許さない2次訴訟原告、そして民事19部で闘う皆さまと固く連帯して進んでいきたい。裁判官に対して、市民に対して粘り強く訴えていくことが大切だ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
予定:「日の丸・君が代」全国学習・交流集会
8月13日(土)9:30~  (12日に諸行動・交流会)
<場所> 社会文化会館(地下鉄永田町)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
停職、減給、戒告、全ての処分の取り消しを求める。
*累積加重処分取消裁判 民事19部 青野裁判長? 
結審 8/22(月)4:30~527号 原告本人の最終陳述 

ニュースへのリンク

2011年7月27日水曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第50号)

論点、争点、キーポイント(結審に向けて 21)
地裁民事19部・青野裁判長不当判決
~「君が代」裁判2次訴訟~

 7/25、上記の不当判決を出した民事19部は、私の累積加重処分取消訴訟で「裁判官の人事異動」により結審延期した係属部でもあり注目していた。青野裁判長は「原告請求棄却」「懲戒処分は裁量権の逸脱濫用に当たらない」という全くの行政追認判決を出した。不起立・不斉唱・不伴奏は「重大な職務命令に対する違反であり軽微な非違行為とはいえない」とされた。
 青野裁判長はわざわざ判決を延ばし、この間の最高裁小法廷判決を踏襲した。強制・侵害をまともに論ぜず「慣例上の儀礼的な所作」として校長の職務命令は憲法19条違反ではないという。また、間接的な制約についても職務命令の必要性、合理性が認められるとした。そして「公務員の法令遵守義務」を強調し秩序維持を優先させた。戒告・減給・停職までも妥当とした。
端的に言えば“裁量権の逸脱濫用=処分取消”に対して外堀を埋めた形となった。1審、2審で争われている訴訟での巻き返しが一層重要になってきた。

教育の自由追求は広範な世論を喚起する

象徴天皇制国家思想の学校教育への全面展開

 第一波の最高裁判決を受けていよいよ下級裁判所の追従が始まった。青野判決が“国家秩序維持”を掲げたのもうなずける。現在の日本国家は「民主的で文化的な国家」(教育基本法前文)、「従属国家」等といわれているが、「日の丸・君が代」との関係では象徴天皇制国家であろう。国旗・国歌法制定時(1999年)の政府見解は今日も生きている。
 「日本国憲法下においては、国歌君が代の『君』は日本国及び日本国民統合の象徴であり、その地位が主権の存する日本国民の総意に基づく天皇のことを指しており、君が代とは、日本国民の総意に基づき、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国のことであり、君が代の歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当である」(小渕恵三内閣総理大臣、後に政府見解)
 「日の丸・君が代」は象徴天皇制国家シンボルとなり「慣例上の儀礼的な所作」(最高裁判決)の対象として公認された。象徴天皇制国家思想は「日の丸・君が代」ばかりでなく、「つくる会」系教科書、愛国心・道徳教育、東京五輪招致、“日本は一つ、がんばろう”等々によって推進されるだろう。

不起立・不斉唱・不伴奏の意義を全面展開しよう

 最高裁判決やそれに追随する下級審判決が懲戒処分を是認しても、3/10高裁判決を生かすためには、不起立・不斉唱・不伴奏の動機、態様、効果を口頭弁論によって積み上げることである。学習権保障の積極的意義を語る必要がある。その点、大橋判決が懲戒処分を取り消した理由に注目したい。
 「生徒に対して正しい教育をしたいなど・・真摯でやむにやまれぬ行為」(=学習権の保障)「控訴人らの歴史観等が独善的なものではない」(=論争的課題)「卒業式が混乱した事実はない」(=否定的要因の有無)「卒・入学式は毎年あり、不起立等を繰り返すと累積加重処分となる」(=教授の自由の一貫性)
 教員としての正当な行為に対し都教委は処分した。裁量権の逸脱濫用は、実は教育の自由(憲法23・26条)の侵害を証明するものでもある。最高裁小法廷の第一波判決は、「その余の上告理由」として教育の自由や不当な支配の禁止を取り上げなかった。多数の「反対意見」「補足意見」は有害なものもあるが、教育の自由、学校現場の自主性・自立を求めるものもあった。最早、19条の枠だけでことを済ませることの矛盾は明らかである。「10・23通達」「職務命令」が学校現場の教育にいかなる影響をもたらしたか、原点にかえって提起すること、ここにこそ精力を注がなければならないと思う。

教科書問題、大阪・不起立条例、憲法改悪反対等の取組と連帯しよう

 この夏は、「日の丸・君が代」問題だけでなく、教育に関わる極めて重要な課題が迫っている。「つくる会」系教科書の内容と最高裁判決は連動している。大阪・不起立条例も含めて06教育基本法の実働化は現実ものとなってきた。
 ある意味ではわかりやすくなってきた。これは教員個人の問題だけではないこと、子どもの未来、日本の未来がかかっていることを訴えたい。

予定:「日の丸・君が代」全国学習・交流集会
8月13日(土)9:30~  (12日に諸行動・交流会)
<場所> 社会文化会館(地下鉄永田町)
停職、減給、戒告、全ての処分の取り消しを求める。
*累積加重処分取消裁判 民事19部 青野裁判長? 
結審 8/22(月)4:30~527号 原告本人の最終陳述 

ニュースへのリンク

2011年7月20日水曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会 ニュース(第49号)

論点、争点、キーポイント(結審に向けて 20)
最高裁第三小法廷、安部処分取消訴訟に不当判決

 7/19、戒告処分取消請求に対し「上告棄却」の不当判決を下した。5/30以来11件目である。これで、2010年末までに高裁判決を受け上告していた事案は全て最高裁判決を受けたことになる。
 この第一波判決についていくつかの特徴を指摘しておきたい。①「日の丸・君が代」強制の職務命令は憲法19条違反にあたらない。19条違反を根拠とする処分取消の論旨は採用できない。②教育の自由・不当な支配・裁量権行使については上告に該当しない。③事案の共通性から、個別的ではなく全国的意味をもつ。④表現行為も「公共の福祉」から制限を受け、「円滑な遂行」を妨げる行為は「違法性を欠くものではない。」
 これらの諸点からは最高裁中枢の断固たる意志が読み取れる。つまり、象徴天皇制国家思想を学校教育で推進することは合憲・合法であり、それに反する行為は許されない、というものである。さて、第二波の事案には、一審勝訴の予防訴訟、二審戒告処分取消判決の一次訴訟、停職・減給処分取消訴訟などが続いている。これらについて、第一波の判決の枠組みで押し切るのか、それとも部分的にしろその枠組みを変更してくるのかが問われている。また、最高裁の下級裁判所への圧力も強まるであろう。
「19条の枠組み」を突破する共同の取組を

~教育の自由・不当な支配禁止から処分(停職・減給・戒告)取消へ~

プラスの要素

 最高裁各裁判官の「反対意見」「補足意見」を見る限り、多数意見の枠組みをはみ出したものが多い。主要には学校現場への影響を危惧するものであり、教育の自由に関わる内容である。「教育環境の悪化」「児童・生徒も影響」(金築)、「教育は、強制ではなく自由闊達に行われることが望ましい」(須藤)など。
 そして何よりも、3・10大橋高裁判決の戒告処分取消の根拠「正しい教育をしたいという思い」に注目すべきである。この不起立・不斉唱の動機は明らかに教育の自由(教授の自由・学習権保障)に関わるものである。

マイナスの要素

 最高裁は19条合憲の枠組みを固定化し、「反対意見」「補足意見」には、不合理、強圧的なものがある。
 「起立斉唱は・・出席教諭全員に一律に要請されるのが一般的である」「参加生徒らに模範を示す」(那須)、「殊更に示威的な拒否行動」(大谷)、「卒業式を円滑に執り行うという業務を妨害するおそれがある」(宮川)また、基本的な対立を無視して起立斉唱が自発的に行われることを期待する意見もある。さらに「受付を担当させる等、会場の外における役割を与え、不起立不斉唱行為を回避させる」(宮川)等と学習権保障と逆行する意見もある。そして、厳しい要素としては、予防訴訟高裁不当判決(控訴却下)や3・25加藤高裁判決の停職処分是認がある。
 長期的には最高裁現状12:2の19条不当判決を逆転しなければならないが、陸続する訴訟案件の当面する目標は、最高裁に教育の自由・不当な支配の禁止について公正な審理をさせ停職・減給・戒告全ての処分を取り消させることである。そのためには一審・二審段階で、不起立・不斉唱・不伴奏の動機、態様、意義を全面展開することが特に重要になっている。不起立は「示威行為」や扇動行為ではない。論争的課題が不当な支配によって強制される時、児童・生徒に示す教材は教師自身の行動である。教育公務員だからこその行動であり、「公共の福祉」によって制約されるものではない。
 今や、この闘いは大阪の条例反対などで全国化し、また、「つくる会」系教科書採択などによって教育課程全般に押し広げられようとしている。全国の教職員を始め広範な人々との共同の取組が急務となっている。

報道

*7/21・8:30:再発防止研修抗議行動(水道橋駅前・都教職員研修センター)
    3月卒業式、4月入学式で処分されたものへの不当研修 反対

*7/25・13:10:「君が代」二次訴訟・地裁民事19部 判決予定

*7/30・13:30:藤田事件最高裁不当判決抗議 報告集会(板橋文化会館)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

停職、減給、戒告、全ての処分の取り消しを求める。
*累積加重処分取消裁判 民事19部 
結審 8/22(月)4:30~527号 原告本人の最終陳述 

ニュースへのリンク

2011年7月15日金曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会 ニュース(第48号)

論点、争点、キーポイント(結審に向けて 19)
最高裁第一小法廷、再びダブル不当判決
~東京「君が代」解雇裁判・北九州ココロ裁判~

 先日7/4の第二小法廷に続いて、上記2件について上告棄却の不当判決を出した。特に解雇裁判の方は、「これまでの最高裁判決を見よ」という素っ気ないものだった。ここには「職務命令が憲法19条に違反するものではない」、教育の自由などは「上告理由」にあたいしないという最高裁の強固な意志が示されている。おそらく、最高裁はこの問題が広く国民の間で議論され、教育問題、学校現場が話題になること自体を避けたかったのだろう。
 これまでのところ最高裁は、基本的には一審、二審の枠内で不当判決を出した。まだ、難波判決の予防訴訟、戒告を取り消した一次訴訟・アイム‘89、さらに停職・減給処分取消訴訟などが続く。私も結審延期を受けて残されたチャンスを生かし、ミスリードすることなくしっかりと主張していきたい。

教育の自由こそ憲法判断を!!

 最高裁に憲法23・26条違反の上告理由を取り上げさせるために
 最高裁小法廷は、民事訴訟法312条によって「その余の上告理由」(教育の自由の侵害)を認めない、と言う。(312条1項:上告は判決に憲法の解釈の誤りがあること、その他憲法の違反があるときに、することができる。)
 なぜ、このような結果になっているのか。19条(思想及び良心の自由)・20条(信教の自由)はその保障が憲法に直接規定されている。ある面では“私の思想・信条・信教が侵害されました”というのはわかりやすいかもしれない。これに比して、侵害を受けた教育の自由(教授の自由・学習の自由)は教育基本法規定または学テ最高裁判決によって明文化されているという関係にある。(憲法23条:学問の自由・26条:教育を受ける権利、②義務教育)つまり、まず不当な支配の禁止(47教育基本法10条、06法16条)、教師の裁量権・一方的な教え込みの禁止(旭川学テ判決)を明確にしてこそ憲法に到達できるのである。教育現場での校務中の校務内容における強制を問題にするべきである。
 そのためにはどうしても、「10・23通達」「職務命令」との関係で不起立・不斉唱・不伴奏のまさしく教育的意味を明らかにしなければならない。3・10高裁大橋判決は控訴人の「正しい教育をしたいという思い」を評価して戒告処分を取り消した。この不起立・不斉唱・不伴奏の動機、さらにはその効果、特に児童・生徒の学習権の保障(公正な判断力、多様な考え、批判力等)にとっての意義を全面展開して証言する必要がある。一審、二審で憲法との関わりでの事実認定を前進させ、できれば部分的にでも勝訴を勝ち取り、その上で最高裁に臨むこと。現段階のような理不尽な却下を許さない実績を上げていく必要がある。一連の最高裁小法廷判決において「反対意見」「補足意見」が続出した。その内容は「19条合憲」を補強するものも多いが、一つの側面として問題の本質である教育の自由についての憲法判断を封じ込めた結果である。
 現段階ではまだまだ不当判決反対運動は盛り上がっていない。先日、教科書展示を見に行ったが、「つくる会」系(公民教科書)では「公共の福祉による権利の制約」が異常に強調されている。また、「日の丸・君が代」の項目では「慣習、ならわし、国民統合」の意義を示し、最高裁判決と呼応している。不当判決や大阪をはじめとする強制のドミノを前に、運動の巾を広げ戦後教育史上に突出した大弾圧を背景とする反動攻勢を阻止したい。あなたや子供、孫、そして生活の問題だから。

情報

*7/19・16:00:安部さん処分取消訴訟 最高裁第三小法廷 判決予定

*7/21・8:30:再発防止研修抗議行動(水道橋駅前・都教職員研修センター)
    3月卒業式、4月入学式で処分されたものへの不当研修 反対

*7/25・13:10:「君が代」二次訴訟・地裁民事19部 判決予定

*7/30・13:30:藤田事件最高裁不当判決抗議 報告集会(板橋文化会館)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

停職、減給、戒告、全ての処分の取り消しを求める。
*累積加重処分取消裁判 民事19部 
結審 8/22(月)4:30~527号 原告本人の最終陳述 


ニュースへのリンク

2011年7月12日火曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第47号)

論点、争点、キーポイント(結審に向けて 18)
傍聴、ありがとうございました~ドタバタして結審延期~

本日7/11結審予定の口頭弁論、予定時間になっても法廷はロックされたまま、そのうち原告・被告が13階の事務局に呼ばれた。青野裁判長は「人事異動があるから本日は結審しない」という。結局、双方の最終準備書面提出と原告の陳述を行い、下記のように結審日程が決定した。傍聴にきていただいた方にはやきもきさせてしまった。多数の傍聴、感謝します。

本日の原告陳述の内容
  1. 処分を受けた時の生徒との関係
  2. 不起立・不斉唱から処分へ
  3. 累積加重処分と教育の自由
  4. 学校現場への影響
  5. 不再戦と処分取消の請求
当面の目標

 教育の自由侵害、不当な支配、その結果としての過酷な処分が憲法、教育基本法に違反することを判断させる最高裁大法廷を開かせるために、当面の目標は一審、二審での事実認定で前進を勝ち取り、勝訴していくことである。それに向けて、不http://www.blogger.com/img/blank.gif起立・不斉唱・不伴奏の動機、その教育的効果を全面展開することが重要である。行動した後の生徒や保護者の反応を証言することは特に重要である。不起立は、決して「示威的な拒否行動」(大谷「補足意見」)ではない。
 ともかく、結審が延び弁論の機会が追加された。これをおおいに利用したい。

停職、減給、戒告、全ての処分の取り消しを求める。
*累積加重処分取消裁判 民事19部 
結審 8/22(月)4:30~527号 原告本人の最終陳述 

ニュースへのリンク

2011年7月8日金曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第46号)

論点、争点、キーポイント(結審に向けて 17)
原告「最終準備書面」~教育の自由、全面展開~

 代理人弁護士の努力によって、結審に向けて「最終準備書面」が整った。最高裁判決を批判し、教育の自由の視座から不起立・不斉唱の意味を全面展開するものとなった。目次を提示する。

第1 本件のいわゆる10.23通達、八王子市教委の9.22及び12.8通達の発出の経緯と校長が職務命令を出さざるを得ない状況

第2 原告の職務命令違反とその処分の経緯
1 原告の経歴と思い
2 卒業式における国旗・国歌の実施と原告の不起立行為・処分
(1) 2003年「10.23通達」発出以前の卒業式
(2) 10.23通達発出後、2004年3月の卒業式
(3) 2005年3月の卒業式
(4) 2006年3月の卒業式での初めての不起立と指導措置
(5) 2007年3月の卒業式での不起立と戒告処分
(6) 2008年3月以降、3回の卒業式での不起立と処分

第3 各通達及び職務命令の違憲・違法性
1 思想・良心の自由(憲法19条)の侵害
2 教育の自由の侵害
(1) 教育の自由侵害が問題となる2つの場面
(2) 教育の自由と「不当な支配」の禁止
ア 入学式・卒業式も重要な教育活動
イ 教育基本法10条の精神
ウ 不当な支配の主体
エ 何が不当な支配なのか
オ 本件各通達、職務命令は「不当な支配」に該当し違法
(3) 教師としての良心の自由
ア 教師としての良心の自由
イ 教師としての良心の自由の内容

第4 本件取消請求について~裁量権の濫用

第5 国家賠償請求(慰謝料請求)

第6 まとめ 

藤田事件・最高裁不当判決と宮川「補足意見」
 7/7,最高裁第一小法廷は、「威力業務妨害罪」を適用して罰金20万円を課した原判決を是認した。藤田さんは都教委「10・23通達」にいち早く抵抗し、来賓として出席した卒業式の前に「日の丸・君が代」強制を批判する内容のビラを配ったというもの。これを不当にも刑事事件とされた。
 判決は、表現の自由も「公共の福祉」のために制限を受ける、「静穏な雰囲気」の卒業式の「円滑な遂行」を妨げたという。「日の丸・君が代」判決の「秩序を確保」「円滑な進行」のために職務命令は合憲としたのと酷似している。
 宮川「補足意見」は、「10・23通達」が「憲法19条(思想及び良心の自由)に違反する可能性がある」としながらも、「校門前の道路等」ではなく「卒業式の行われる体育館という場」での行為は「業務を妨害するおそれがある」と述べている。宮川裁判官は「6・6判決」の「反対意見」でも「会場の外における役割を与え、不起立不斉唱行為を回避させる」等と無理論をさらけ出している。私たちの不起立行動が教育の場で教育的意味をもって行われることをほとんど理解していない。

停職、減給、戒告、全ての処分の取り消しを求める。
*累積加重処分取消裁判 民事19部 青野裁判長
来週(結審)7/11(月)13:30~ 527号 
最終準備書面の提出・原告本人の最終陳述 傍聴よろしく


ニュースへのリンク

2011年7月7日木曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第45号)

論点、争点、キーポイント(結審に向けて 16)
ポスト最高裁判決の都教委見解を批判する
~都教委「最終準備書面」(6/29付)にみる強権方針~

先日届いた「準備書面」はおそらく最高裁判決後初の都教委見解であろう。結審にあたって、何をねらっているのかを明らかにしておきたい。

① 最高裁判決に追従
「判決で用いられた憲法19条違反の判断枠組み」「最高裁判決の判断枠組み」として、「慣例上の儀礼的な所作」「秩序を確保して式典の円滑な進行を図ること」から職務命令を合憲としている。注目されるのは一連の最高裁判決を「判断枠組み」として固定化しようとしていること。しかし「現在、日の丸を国旗として、また、君が代を国歌として認容する国民の多数の意見」と述べ、未だ異論があることを吐露している。
②  累積加重処分(減給・停職)を重大視
 「本件については、事案の重大性から・・教育委員の合議により、『戒告』処分を決定」「同様の職務命令違反を繰り返す者については、量定を加重し『停職1月』とすることを相当と判断」「教職員懲戒分限審査委員会の答申を得て教育委員会において決定した」と述べる。
 強制が続く限り生徒に多様な考え行動があることを示す不起立・不斉唱を継続することは当然である。3.10高裁大橋判決は、裁量権の逸脱、濫用として「戒告」を取り消した。処分を取り消すかどうかは、「正しい教育を行いたいという思い」「真摯な動機」を評価するのか、それとも連続する不起立を「度重なる非違行為」とするかの問題である。教育の自由への全面展開が必要である。一貫して教授の自由と生徒の学習権保障を追求した結果の減給・停職処分の取り消しには道理がある。
③  教育公務員・公共の福祉による制約
 「原告は、自らの自由意思で公立学校教職員という特別な法律関係に入った者」「基本的人権も絶対的なものではなく・・制限を受けるもの」「起立することを拒否することは・・児童・生徒の教育を受ける権利を始め、他者の権利・利益を著しく害する」としている。倒錯した論である。
 教育公務員であるからこそ、教授の自由が侵害され、間接的に生徒の学習の自由が侵害される局面では、それに抵抗することが職務として必要であり、生徒の学習権を保障することである。そのような教育的良心が特別権力関係や公共の福祉によって制約を受けるはずもない。
④ 教育の自由による不起立についての無理解ないし無視
 長くなるが奇妙な論理展開なので引用する。「人格の核心たる世界観、社会観に基づかない理由、例えば、国旗・国歌に対して不快感、嫌悪感を有するという感情的な理由や、国旗・国歌に違和感は有してはいないが強制に反対するという理由などにより、国歌斉唱時の起立を拒否するものに対しては、懲戒処分を課すことは、必ずしも同人に対して内心の思想に基づいて不利益を課すことにはならないという結論になる。そうだとすると、このような立論は、国歌斉唱時の起立を拒否する理由がどのようなものであるかを問題とすることになると思われる。しかし、任命権者が処分の検討に当たって、個々の教職員の内心における世界観、主義、主張を調査することはそれこそ憲法19条から許されるものではない。」と述べている。
 不起立が思想や信教以外の理由から決行されることを認めたのはよしとしたいが、都教委は「10・23通達」「職務命令」が教育の自由を侵害していること、不起立・不斉唱がそれに対する抵抗であり、正しい教育をしたいという思いの実践であることを理解しようとはしない。都教委も「強制に反対するという理由」を認めざるを得ないが「内心の思想」ではなく教育的良心(教授の自由)が直撃されていることには無理解である。
 「先に処分ありき」で泥縄式に独善的なドグマを持ち出すと結局は泥沼に陥る。「思想調査」も「処分」も共に許されない。

結審に向けて、いよいよ対立点が明確になってきた。最高裁の“職務命令は19条合憲”“象徴天皇制国家思想の総動員を容認”“処分是認”判決の下で、また、不起立・不斉唱者を免職にする動きの中で、それに真っ向から対決していきたい。停職、減給、戒告、全ての処分の取り消しを求める。

*累積加重処分取消裁判 民事19部 青野裁判長
次回口頭弁論(結審)7/11(月)13:30~ 527号 
最終準備書面の提出・原告本人の最終陳述 傍聴よろしく


ニュースへのリンク

2011年7月5日火曜日

累積加重処分取消裁判を支援する会ニュース(第44号)

論点、争点、キーポイント(結審に向けて 15) 
最高裁 ダブル不当判決

 7/4,第二小法廷は、府中小学校教員処分取消訴訟と南葛飾定時制高校教員嘱託地位確認訴訟において、「職務命令が憲法19条に違反するものでない」とする連続不当判決を下した。判決文はいずれもこの間の最高裁判決を「参照」せよというワンパターンであった。これで最高裁小法廷は5・6度目の“19条枠・23条除外”の判決を確定したことになる。
 命令を「慣例」、追従を「所作」と強弁し、象徴天皇制国家思想を学校教育に全面展開することを容認するものである。そして、「敬意の表明」を拒否する者を排除することをも合憲とした。以後も続々と上告棄却判決が予定されており、思想・良心の自由については、現段階における最高裁の論理が固定化していくだろう。

最終陳述、事実に語らせよう

 さて1週間後に結審を控え、最終陳述で何を述べるか。結論は、私が不起立・不斉唱に至った動機と効果、過酷な処分の事実を率直に展開することに行き着いた。
 本件事案発生時の生徒との関わり、行動を起こした経過、どのような影響があるか、裁判所に何を求めるか、5分間の勝負だ。最高裁の不当判決が続いている中、地裁、高裁での闘いが特に重要になってきたと思う。「正しい教育をしたいという思い」、この動機と共に不起立・不斉唱の教育的効果を正確に伝え、教育の自由(教授の自由と学習の自由)がいかに侵害されたかを述べたい。
 皆様の傍聴をお願いします。

研修の途中で分限免職~疋田分限免職取消訴訟・高裁不当判決~

 6/30,上記の判決が出された。その判決文で、都教委は自ら設定した「研修」を課しておきながらその途中で一方的に分限免職処分を発令し、裁判所はそれを追認している。大阪では免職条例が用意されているという。都教委では懲戒分限審査会(懲分審)で処分が決定される。さらに、一部の「保護者」の声が絶対視され信用失墜の根拠とされている。
教育基本法の実働化(「つくる会」系教科書採択・象徴天皇制・愛国心・規範意識・公共の精神・国際貢献・国益等)が学校教育全般に及んできている。それを拒否し教授の自由を発揮する教職員はどうなるのか。極めて危険な段階に入った。

*累積加重処分取消裁判 民事19部 青野裁判長
次回口頭弁論(結審)7/11(月)13:30~ 527号 
最終準備書面の提出・原告本人の最終陳述 傍聴よろしく

ニュースへのリンク